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【NNNドキュメント’17】お笑い芸人VS.原発事故 マコ&ケンの原発取材2000日

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【NNNドキュメント’17】
「お笑い芸人VS.原発事故 マコ&ケンの原発取材2000日」

(日本テレビ系列・2017/2/6放送)
※公式サイト:http://www.ntv.co.jp/document/

<感想>

 直接内容の感想と離れますが、正直“尺”が長かったです。出来ればNNNドキュメントは30分でまとめてほしいです。構成も色々飛ぶので「視聴メモ」も書きづらかったです(正直言って今日1日で視聴したわけでなく何日かに分けて少しずつ視聴して、今日仕上げました)。

 それはさておき福島第一原発事故以降、東京電力の記者会見にずっと出席し追及してきた「夫婦お笑い芸人」が本業のフリージャーナリスト「おしどり」さん。福島第一に関する文献やネット上の情報を結構多く読んでいたつもりだった私ですが…申し訳ありません。この番組まで存在を知りませんでした。

 なのでこの番組で紹介されている限りでしか情報がないので、その範囲での感想になります。事故発生当時から地元の人たちと連携して先方がなかなか出さない情報を引き出したり、また現場の声を汲み上げて追及する姿は誰にも真似できないものだと思います。

 私たちは常に情報が得られなかったり知識に乏しいため、どうしても専門家の言葉が全てだと思ってしまいます。だからゆえ「おしどり」の2人のように様々な角度から問題提起をする人たちが必要だと番組を通じて感じました。

 福島の現状について、甲状腺がんの2巡目調査に対する評価は番組で指摘されていたものと異なる意見もあると聞いています。これから検証がもっと必要だし、その間で風評被害が広がらないようにする配慮も必要だと思います。別の科学者の取り組みもあります(→事態を侮らず過度に恐れず~“福島プロジェクト”の挑戦~)。

 私たちも福島を注目しつつ、様々なところから出てくる情報を自分自身がどう判断するか養う必要があると思います。まあ、もちろんIOC総会で「完全にブロックされている」と抜かした人の真贋鑑定は明らかですが。

<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>

※見出しは当方で付けました。

・あなたは誰?
・原発事故に関する東京電力記者会見。

マコ:この対策というのは具体的に何でしょうかというのを質問していたのですが、ご回答いただけますでしょうか?

東電:特に具体的には考えておりません。

マコ:なぜ4月の段階でそれを公表されなかったかということに対して、お答えお願いします。

・(ケンのナレーション)東京電力に鋭い質問をするこの女性。大手の新聞記者さんでもテレビの記者さんでもありません。実は僕の奥さん、マコちゃんなんです。僕とマコちゃんは夫婦お笑い芸人(「おしどり」(マコ・ケン))
 僕と出会う前、マコちゃんは超売れっ子アコーディオンの流し。僕はしがない針金職人。お得意はエロシャンソン。
 僕たちが初めて東電に行ったのは、原発が爆発してひと月後(2011年4月19日)

・その映像が残っていた。マコは誰も聞いてくれないある質問をぶつけたかった。

マコ:おしどりです。4月18日のカメラで白煙がはっきり上がっていたんですけれども、これはどういった現象なんでしょうか?

東京電力原子力・立地本部長代理(当時)の松本純一氏:おそらくですね、3号機もしくは4号機の方の使用済み燃料プールの蒸発水、蒸発してくる水蒸気が凝縮してですね、湯気のような形で映っているんではないかと思っています。

マコ:なるほど、その湯気には揮発性の放射性物質とかは含まれてはないんでしょうか?

松本氏:はい、あの、完全にはゼロというわけではございませんけれども、含まれていると思います。

・その後、どのぐらい放射能が出ているか問い続けて3か月(2011年7月25日の記者会見)。

松本氏:現在1・2・3号機、原子炉建屋から3台合わせて約10億ベクレルパーアワー、毎時10億ベクレルパーアワーということで、セシウム134、137が放出されているというふうに評価しております。

マコ:4月の分も、遡った分も公表していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか?

松本氏:4月4日の午前9時から4月6日の午前0時ですと、2.9×10の11乗ベクレル/時間というような評価結果が出ていますので。

・「1時間ごとに2900億ベクレル」。4月に東電はこう言っていた。

「完全にはゼロというわけではございませんけれども、含まれていると思います」

・マコは原発は爆発した後も途切れることなく、放射能を出し続けていることを東電に認めさせた。数字という目に見える形で。

おしどりさんの場合は、やはり地元の特にお子様が放射線を受けたかもしれないだろうお母様方と直接コンタクトを取られて。そういったご懸念をしっかり背景に持って、いろいろ質問されていたことが非常に印象に残ってまして(原子力安全委員会・当時の加藤重治氏)

相手に緊張感を与えるんですよ。ごまかせない、逃げられない。既成のジャーナリストともまたちょっと違う(ドイツテレビZDFの西里扶甬子氏)

マコさんはすごくネットでもTwitterとかでもよくぞ言ったと(週刊SPA!の山崎元氏)

(取材者:芸名で質問したのは?)
本当はフリーランスの吉岡ですって記者会見に入った方がバッシングされないし炎上しないし、気分的にも楽だったんですけど、おしどりですって質問して芸人で取材を始めたのは、いつでも誰でも調べればいいと心底思ったんです(マコ)

・出会って1週間で結婚した不思議な2人。今日も向かう先は東京電力。これまで何度通ったことか。

500回は超えたよね?もっとだよね(ケン)
数えきれないよね(マコ)

・雨が降ろうが槍が降ろうが、暑い日も寒い日も今日もゆくゆく東京電力記者会見。

(取材者:あなたは反原発芸人?脱原発芸人?)
うわー、いや、違います(マコ)

・(ケンのナレーション)マコちゃん、手挙げるのいっつもキレイなんです。

<なぜ原発事故の取材を始めたのか>
・昨年夏、福島市で「おしどり」マコ・ケンが講演会を開いた。

マコ:皆さんこんにちはマコです。
ケン:ケンです。
2人:おしどりです。よろしくお願いします。
マコ:芸人になる前は鳥取大学医学部生命科学科というところに行っておりまして、優秀な成績で3年で中退いたしまして。何で原発事故を取材し始めたかっていうのをちょっとだけお話しした方が…。
ケン:自己紹介の代わりにねさせていただきましょう。
マコ:東京に引っ越して3か月で地震に遭ったんですよね。
ケン:そうです。引っ越してすぐですよ、2011年ね。
マコ:で、その…東京にいてテレビでは直ちに影響がありませんっていうことをバンバン言ってるんですけど。
ケン:よく言ってましたね。
マコ:何となく、これちょっとテレビで直ちに影響ないって言ってるの、ちょっとおかしくない?と思って、いろいろ調べ始めたんですよね。
ケン:マコちゃん、テレビ見ながらぶつぶつ怒り出したもんね。
マコ:インターネットでやってる東京電力の記者会見をずっと見始めたんですよね。
ケン:記者会見の様子ですけども。
マコ:初めはね、3月はずっと記者会見を書き起こしていて。
ケン:状況が分からないからね。
マコ:原子力工学とか全然分かりませんからね。東京電力の説明と質疑応答になったら、ずっと書き起こしていたんです。1回の会見でノート1~2冊になってね。
ケン:最初は長かったですからね。
マコ:一番前でずっと手を挙げてても全然当たらない記者さんがいて、そうすると何で指名してくれないんですか、ちゃんと公平に質問を受け付けてくださいとか言って怒ってるんですよ。

・珍しく質問するチャンスが来ると…。

(会見場)
記者:申し訳ありませんが確認させていただければと…
記者のヤジ:ひとりよがりの質問はヤメろよ!ひとりよがりの質問は!

マコ:めったに当たらない人が当たると、他の記者さんが「お前の質問なんかいいんだ」とか。

(会見場)
記者のヤジ:あなたの質問だけじゃないからさあ。

マコ:私が記者会見を見ていて知りたい質問をする人はめったに当たらない記者さんで、その人がたまに当たるとみんなから攻撃されるっていうことが分かったので、これは記者会見を見ていてもダメだと思って。だからその時にケンちゃんともう、うちら記者会見行こう。またこの人が指名されて「お前の質問なんかいいんだ」って言われたら、私たちが後ろから「私たちが聞きたいんですよ」って言い返してやろうと思ったんです。
 2001年記者会見に行き始めたとき、すごい悔しかったんですよ。黒田さんですよ、覚えてますよ。東京電力エースっていう(当時・原子力設備管理部課長の黒田光氏)。「どうせね、女の人には分からないと思いますけどね」って言ったんですよ。それを後ろで聞いて「何だこの野郎。この中で一番詳しくなってやる」と思って見てて。

(取材者:どのくらいの本読みましたか?何冊とか)
えー、何冊かな。本めっちゃ読む人って本を並べた場合の背表紙の幅で数えるらしいんですけど、15mぐらいは読んでると思いますね(マコ)

・(ケンのナレーション)でもここで難関が待ち受けていました。会見に入るには署名記事を半年に2回以上書かなければならないことに。

・助けてくれたのは、東電会見に出ていた記者だった。

当時はちょうどTwitterがドンっと広がったときだったんで、ネットで東京電力のあそこでの会見の模様を全国の人が生で見ている人たくさんいて、こいつはいい質問したと。この社は何やってるんだというので、すごく盛り上がってた時期だったんですよね。新聞社とかテレビ局とか、もちろん雑誌もフリーの人もたくさん入ってたんで。その中で一番グサっと刺さるような質問してたのがおしどりだった。福島県と宮城県の県境の淡水魚がどれぐらい影響が出てるかとか(週刊SPA!編集主任の山崎元氏)

(2011年6月1日 政府・東京電力統合対策室合同記者会見)
マコ:福島県の北部の方で淡水魚の汚染があるんですけれども、宮城県での淡水魚の汚染状況は調べてらっしゃるんでしょうか?

水産庁:まだ調査は行われておりません。

当事者でも分からないことを引っ張り出して来るんですよね。それでぶつけて行くんで。だから下準備とかすごいしてるんですよね。名うてのジャーナリストが集まっている中で、なかなかすごいなと。なので、ちょっと書いてくださいってことでお願いしましたね(山崎氏)

・「お笑いが何しに来てんだ」とバッシングも。

確かそういうのありましたね。会社に所属した記者ジャーナリストの人とフリーの人との嫌な軋轢っつうか。見てていいもんじゃないっていうか(山崎氏)

(おしどり家のリビング)
マコ:初めはそう考えるとうぶだったね。よく泣いてたよね。
ケン:そうやね。今、考えるとね。
マコ:何でこんなことされるんやろとかって、よく泣いてたもんね。帰りしなとかもね。
ケン:帰りしなもやっぱり込み上げるときあったかな。
マコ:あった、あった。隙間に入って泣いた。
ケン:ねっ、ホンマやね。
マコ:ビルとビルと隙間に入って。何かいつの頃からか全然何か全く気にならなくなっちゃって。

<飯舘村の子どもたちの検査結果を通知させた>
・(ケンのナレーション)会見に復帰できたマコちゃん(2011年5月末)。やりたいことがありました。

(会見場)
マコ:3月30日に飯舘村の小児甲状腺サーベイの検査ですけれども、先程も電話して確認したんですけども、直接お母様方はご存知でないということで。これは人体実験だったのかと怒ってられるんですけれども。それぞれお子さんの値がいくつだったかを知りたいということで、それも教えてください。

※小児甲状腺サーベイ:子どもの甲状腺の被ばく線量を喉元で測定器により測る。

原子力安全委員会審議官(当時)加藤重治氏:現地対策本部では行った直後もですね、全体の結果の発表はされております。

マコ:その発表というのは、皆さん基準値以下だったという発表なだけで、そのお母様方がどの基準値だったかっていうのも、どれくらいの基準値だったかっていうのもご存知ないんですね。

・マコが会見場から電話で確認した相手は(飯舘村で)小学校職員(当時)の愛澤卓見さん、飯舘村の友人だ。

飯舘村役場の議会議場で子どもたちを呼んで甲状腺検査をしたわけですね。で、そこで甲状腺にサーベイですね、それを当てて、大丈夫ですよっていうような話で帰されるということがあって、保護者からすると大丈夫ですよとは言ってもらってるんですが、検査は何なのか?検査の数字が何なのか?ってことは一切発表されないわけです。本人に知らされてないわけですよ。もし何年後かにそれが翻ったときに、それはちょっとお気の毒でしたが、これはこう…補償しましょうっていう話になるんであればいいんですが、ノーデータっていうのは、やっぱり、ちょっとこう引き下がれないと思いまして(愛澤氏)

・マコの要求で確認した安全委員会は…。
(会見場)

加藤氏:その時の発表資料には数値は書いてございませんでしたので訂正させていただきます。

・小児甲状腺検査を行って5か月後(2011年8月18日・飯舘村)。
(子どもの甲状腺被ばく説明会)

担当者:本来であれば早く結果を通知すべきところではございましたけれども、遅くなってしまいまして大変申し訳ございません。おわび申し上げたいと思います。

・母親たちにようやくデータが示された。

ゼロじゃなかったから大丈夫っていっても、結局ゼロじゃないし(女性)

特にお子様中心に甲状腺の被ばく線量の調査をやりましたけども、その結果を保護者の皆さんにちゃんとお伝えしてなかったということが、おしどりさんの質問で明らかになって(加藤氏)

あのデータの開示そのものは、本当に彼女がいなければなかったでしょうね(愛澤氏)

遅れて来るときもね、いつもアコーディオンの大きい鞄を抱えてやってらっしゃってたから。あれはやっぱし身から離せないものでしょうね。大体、毎回前の方に陣取っておられて、いつおしどりさんから安全委員会に質問飛んで来るのかなって。実際、毎回緊張して臨んでましたけども(加藤氏)

・記者の中で一番勉強して会見に臨んでいたと語る加藤氏。

・(ケンのナレーション)でもね、どこでもいっつも勉強してて、ちょっとだけ寂しかったな。

<福島県の「県民健康調査」会議にも毎回足を運ぶ>
・おしどりは、福島県の「県民健康調査」検討委員会にも2011年から毎回足を運んでいる。

(講演会)
マコ:非公開で会議をやっていて、地元の県政記者クラブにだけ通達してぶらさがり取材ができるっていう状態だったんですよ。で、私県庁に電話して、しつこくしつこく電話してね、第4回からオープンになりました。そのときに東京から取材してるメディアいなかったんじゃないかな。傍聴する地元の方々も10人もいなくて、5人前後でした。2011年はずっとね。記者会見場なんですけど本当に少ないんですよね。報道席が少ないのに、あれ?今日は皆さん来ないのかしらみたいな。検討委員会、今はどんな感じかっていいますと。
ケン:これは一番最近の6月6日の23回。
マコ:もう取材しているメディアの方々は50人を超えていて、そして傍聴する地元の方々が100人を超えていて。それで本当に地元でちょっと親戚で病気が増えてきたから心配になったとか、お身内に甲状腺がんの方が出たとか。すごくいろんな…何ていうか、それぞれいろんな気になることを抱えて、栃木に避難されてる方、埼玉に避難されてる方、あちこちに避難されてる方が、この検討委員会の傍聴だけを聞きに朝から車で走って来られている方が本当に増えてきました。
 私がちょっと最近気になったのは、運動部と文化部でちょっと病気の割合が違うんじゃないかと、近所とか親戚見てて思うから、それを割合を出してくれって言ってくれないかと。お互い絶対に知り合いじゃない3人の人から同時期に同じこと言われたので、ちょっと気になって。
ケン:そういうことが、やっぱり心配になってるんですよね。
マコ:割とね、皆さんご自分で県庁とか福島県立医科大に問い合せてるんですけど、全然それは答えてくれないので。
ケン:なるほど。
マコ:聞いてくれないかっていうことを言われました。私もちょっとそのことを結構気になっていて。というのは2011年の4月に文科省が出した「(福島)県内の学校の校舎校庭等の利用判断における暫定的考え方について」という資料なんですけど。これを見ると2011年は校庭園庭が毎時3.8マイクロシーベルト未満だったら校庭園庭等、平常通り利用して差し支えないっていうことになってるんですね。この考え方を基に例えば2011年のね、甲子園大会の福島県大会はグラウンドが毎時2.2マイクロシーベルトだったので、この厚労省の通達以下だから通常通り開催しますということで開催されていました。

(福島県郡山市 開成山野球場)
(アナウンサーの声)今日は最大でも1時間当たり2.2マイクロシーベルト。基準の3.8を下回り開催となります。

・プレーすれば土ぼこりも舞い上がる。3.8(マイクロシーベルト)は、どういう数字か?これは年間20ミリを根拠にした数字だ。国は事故時の現存被ばく、年間0から20ミリという国際基準の最大値を採用した。子どもが1日8時間外にいたとすると1時間当たり3.8マイクロになる。

※現存被ばく:事故が収束する過程で定着した放射能による被ばく線量。

・これは病院などの放射線管理区域よりはるかに高い環境で暮らしていたことになる。

子ども:20ミリシーベルト/年
放射線管理区域:5.2ミリシーベルト/年

(講演会)
マコ:びっくりしたのは次の年です。次の年、厚労省が事業者から労働者を守るための法律をつくりました。特定線量下業務というのは2.5マイクロシーベルトパーアワー以上なんですよ。

※特定線量下業務:建設業務に伴う測量、運送など。

・つまり特定線量下業務をする人の下限が、子どもたちが校庭を使っていい上限より低かったのだ。

2.5マイクロシーベルト以上→作業員は保護される
3.8マイクロシーベルト以下→子どもは校庭使用OK

(講演会)
マコ:成人男性で毎時2.5マイクロ以上であれば特定線量下業務として健康診断してください。線量測ってくださいとか出るんですけど、その前の年は子どもたちが3.8マイクロパーアワーで問題はないということになってたんですね。だからその…厚労省と文科省の違いとはいえど。
ケン:このことについて、その後ね。
マコ:本当に。
ケン:何も言われてませんよね。
マコ:本当に、本当に。

・文部科学省はこの頃「20ミリシーベルト以下」を「1ミリシーベルト以下を目指す」と変更している。
・2013年9月、全国の科学者が集まった福島第一の廃炉に関する会合で。

(講演会)
マコ:そのミーティング1時間ぐらい終わった後にA4 1枚の紙を配って、このリストに載っている人物とか団体が近づいてきても一切コンタクトを取らないようにって言ったんですって。そのリストには菅直人とか小沢一郎とか書いてあるんですけど、最後の方に「おしどり マコ ケン」って書いてあって。
(笑いと拍手)
マコ:いやいや全然、拍手じゃないです。すでにそこに参加してた研究者と何人か仲良かったので電話がかかってきて「一人だけ平仮名で書いてたから目立ってた」って言われて。「みんな“おしどり”だけ覚えたと思うよ」って。

(講演会が終わってから)
(取材者:今日は急いで帰って…)
マコ:原稿、帰りながら書きます。

・(ケンのナレーション)収入は雑誌などの原稿料と僅かばかりの本業のギャラ。いっつも火の車です。

<二人の家庭でのやりとり>
 正月飾り、針金で作りました。

(おしどり家のリビング)
マコ:ケンちゃんが書き起こしをして、私が原稿を書いてっていうか。

・(ケンのナレーション)値段の張る専門書、お母様方の寄付で買いました。それからよくあるんですけど、国際会議から帰るとガス止められてました。

ケン:マコちゃんに怒られたら台所にこもるときもあります。
(取材者:どんなときに叱られる?)
ケン:大体、早とちりするんですよ。メチャクチャ怒られるのは、同じこと2回、3回やったときですかね。
マコ:2回、3回じゃない。10回20回同じこと繰り返していても…ごめんで済まんやろって。

・(ケンのナレーション)もともとはマコちゃんが料理してたけど、事故後はマコちゃんに時間をつくってあげたくて、料理を覚えて全部僕がやるようにしました。

ケン:誕生日プレゼントに何がほしいと言われて、圧力鍋を買ってもらって。結構いろいろ沖縄料理とかトルコ料理とか何でもやってみたくなるんですよね。
マコ:ケンちゃん、コンニャクいっぱい入れてね。
ケン:本当はね、手でちぎった方がいいんですけど、時間短縮を。圧力容器を冷却してます。

・出来上がったのは手作り味噌が隠し味の牛すじ煮込み。

マコ:ありがとう。
ケン:マコちゃん、この一番大きいの。
マコ:味は、しゅんでないけど美味しい。
ケン:うん。
マコ:明日ぐらい、おいしなるかな。

<マコがお笑いに入ったきっかけ>
・マコがお笑いに入ったきっかけは阪神・淡路大震災。医学部生命科学科で学んでいたマコは、ふるさとに戻って驚いた。「被災者にとって医学は無力。笑いだけが癒してる」「これや!」と医大をスパッと中退しお笑いの道へ。そこでケンと出会った。

・(ケンのナレーション)そして2003年におしどり結成。

・家の壁にはこんなメモが…。

「3.11からうんっと忙しくなってるのに僕の相手してくれてかんしゃです」

<国際的な会議にも取材して言われたことは>
・国際的な原子力機関もたびたび取材(2012年10月1日、第3回放射線防護における科学と価値に関するワークショップ及び第6回放射線防護体系の進展に関するアジア会議)。

(講演会)
マコ:シンポジウムに出席して、しれっと懇親会に潜り込んでビールつぎながら「どうですか?最近」って聞くのが割と得意なんですけど、世界の研究者の人たちがそういう飲みの席でふらっと話す福島原発事故の後の話というのが、私は本当にひどいと思っていて。これ2012年の国際会議、3日間朝から晩まであって。最終的にすごく仲良くなって、いろんな国の研究者から「今日のシンポジウムの本当の目的を教えてあげようか」とかよく言われるんですよね。
ケン:声掛けられますね。どんな記事書くの?って。
マコ:そうそう。で、びっくりしたのが福島の原発事故が起きるまで「原発は事故が起こらない」といってセールスしてきたと。でも日本で福島第一原発で3機事故が起こって、もう事故が起こらないというセールスはできなくなったと。でも今後、アジアやアフリカで50基原発をつくることは世界で決まっていて、どういうセールスをしていくかというと「事故が起こっても大丈夫だ」というセールスをすると。私びっくりして「このことを踏まえて記事を書いてね」って言われたので「分かりました」って言って、私一言一句それを書いたんですよね。「そんなこと言っていない」「あれ?そうですか、ICで取ってあるので聞き直してみます。あれ?おっしゃってますよ、間違いじゃないですよ」って返事したら、何も返ってこなくなったんですけど。私それを言われてショックだったので、他のIAEAの国際シンポジウムとかOECDの国際会議に「あの人にこんなこと言われたんですけど本当ですか?」って結構聞いたんですよね。
ケン:別の専門の方にね。
マコ:そしたら何人かの方は「その通りだよ」って言われて、さらにショックなことを言われました。原発事故の後、汚染地域の住民の方々が自分の手で除染をして住み続けるというモデルケースをつくることが大切だと。で、それを世界に発信することに、とてもこのシンポジウムの意味があると言われました。

・現在、福島では除染したエリアへの住民の帰還政策が急ピッチで進められている。

<水俣病の患者さんの思いは>
・当時、自分は物知らずだと痛感したマコは原発事故と重なる部分があると思い、熊本県水俣へ。自分もお腹の赤ちゃんも水俣病となった坂本フジエさんを訪ねた。

(取材者:数年前に飯舘の方と一緒に福島第一原発を取材している、おしどり・マコさんという女性が水俣のことを勉強されに来たと思うんですけども…)
何か見た顔じゃあるね。被害者が動いて頑張らんと、他の人は誰も国も誰もやってくれんから、やっぱ被害者の自分たちが頑張らんといかんでしょうねっちゅうことは言うたろうと思う。同じだから。水俣だってやっぱ60年も70年も続いとっとだから。
 水俣病よりは辛い。ものすごい福島はひどいと思う。どうしようもなかですもん。水俣の人たちは海の品物を食べずにおれば畑とか山とかは別に関係ないから。食べさえせんば病気にならん。でも福島の場合はどうしようもなかですもん。みんなでしょうが、畑にしても山にしても田んぼにしてもな。本当に元に戻すっちゅうことはあり得ないと思う、私は。人を頼ってもあてにならんから、被害者の自分たちがどがんしてもやっぱ頑張らんといかん(坂本さん)


(講演会)
マコ:辛いことだけど怒ってほしい、助けてって言ってほしい。そうすることが、その後の未来を守ることだから。それを福島の方々に伝えてほしい。

・(ケンのナレーション)最初はピンと来てなかったけど、行ってみてすごい大事なことを教えてくださったんだなって思いました。

<「おかしい」と指摘する2つのグラフ>
(おしどり家のリビング)

(取材者:一番これおかしいやろって思ってることはありますか?)
マコ:うわ、それいっぱいあるんですよね。やっぱりまず原発事故があって、その後の健康調査のやり方。検査デザインももちろんおかしいですし。

・県民が書き込む健康調査票には、内部被ばくに関する項目が不十分だとの指摘も。さらに長崎大学の山下俊一放射線健康リスク管理アドバイザーは、事故直後の講演会(2011年3月20日 いわき市「福島原発事故の放射線健康リスクについて」)で…。

放射線の実は健康影響は、ほぼゼロに近いくらい小さい(山下氏)

・山下氏は「100ミリ以下の被ばくは全く問題ない」とその後も語り続けた。しかし事故2年前の学会誌(2009年3月 日本臨床内科医会会誌)で「主として20歳未満の人達で10ミリから100ミリシーベルトの間で発がんが起こりうるというリスクを否定できません」と語っている。
・もう1人のアドバイザー、高村昇氏も…。

皆様方、健康の心配ってのは全くない(高村氏)

・ある2つのグラフは高村氏が論文に載せているもの。甲状腺がんになった子どもたちが何歳のときに原発事故が起きたかを示している。チェルノブイリと福島。「パターンが違うので福島での甲状腺がんは放射線の影響ではない」という説明に使われてきた。
・しかし縦軸も違えば、年齢幅もやり方も違う。事故当初、チェルノブイリでは測定機器が僅かしかなかった。しかも日本のグラフは4年間のもの。チェルノブイリは計16年のグラフなのだ。異なる条件のグラフを比べる不自然さは、検討委員会でもたびたび指摘された。

(おしどり家のリビング)
ケン:11月にもこの資料を使った説明を見ましたよね。
マコ:避難解除される地域で農業を再開される人向けの農業と放射線防護の説明会で、このグラフがまた出てきてね。ちょっと私、確信犯だと思うんだよね。「配布資料には入ってないですけど、このグラフを皆さんにお見せしたいから説明します」。
ケン:後で確認できないもんね。
マコ:確認できない。「ほら見てください。チェルノブイリと福島の甲状腺がんのグラフの形がこんなに違うということは、傾向が違うんですよ」っていう説明をやっぱりされてたので。

・福島県立医大の「甲状腺通信」最新号(2016年8月)でもこのグラフを使って、5歳以下が福島では少ないと今も説明。放射線の影響ではないとする根拠に使われている。

<茨城県北茨城市の甲状腺検査では>
(おしどり家のリビング)
マコ:あと放射性物質は県境で止まるわけではないので、福島県以外の汚染地域で健康調査がきちんと行われていないこともおかしいし。

・福島との県境、茨城県北茨城市。3号機が爆発した後、放射性プルームは16日、南へ。県境を越え茨城側へ侵入した。北茨城の母親たちは署名を集め、子どもの甲状腺検査を求めた。市は18歳まで無償での検査を決めた。

国がだって原発安心だって言ってて、安心じゃなくしたんですもの。国が悪いんですよ。私ははっきり申し上げて、国の責任においてやらなくちゃいけないですよ、周辺地域はね。でもそれを待ってたんじゃ、子どもたちが母親たちが本当に安心なんだろうかという。3月16日このデータを見ますと16マイクロシーベルトあるわけですよね。国がやろうとやるまいと市民を守んなくちゃいかん(北茨城市の豊田稔市長)

・その検査で3人が甲状腺がんと診断された。もし福島と同じように2巡目で悪性や悪性疑いが増えたとしたら?

1回目のときに健康そのものである。しかし2回目がそうなったということは、若干なりとも放射能の影響あるんだろうというふうに考えざるをえませんよね(同上)

<首相のIOC総会の発言について>
(MBS「報道するラジオ」2013年11月1日OA)
マコ:オリンピックのIOCブエノスアイレスの総会の翌日の記者会見がめちゃめちゃ面白かったんです。
(どうだったんですか、あのとき?)

(2013年9月8日 ブエノスアイレスでのIOC総会)
汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートル範囲内の中で完全にブロックされています(安倍首相)

・東電会見の常連記者たちは開いた口がふさがらなかったという。

(2013年9月9日 東京電力会見)
記者(テレビ朝日):この発言に関しては東京電力としては事実関係含めて、こういうこと何かございますでしょうか?

東電 原子力・立地本部長代理(当時)今泉典之氏:今のご発言について政府のほうに確認をいたしました。

記者(テレビ朝日):これについて東京電力が政府に問い合わせたということですね?

今泉氏:はい、結構です。

記者(テレビ朝日):東京電力が、ないとは思うんですけど、事前に政府のほうに行ってこうですよと説明したという事実はないわけですね。

今泉氏:ございません。

(「報道するラジオ」)
マコ:東京電力といたしましても安倍総理のご発言のご趣旨を国に確認いたしましたっていう。
(確認しました?)
(聞いてなかったらしい、彼らも)
(安倍さんがそうおっしゃると俺らも知らんがなという状態ですか、東電が)

(2013年9月9日 東京電力会見)
記者(東京新聞):どの部分を捉えてコントロール下にあるというふうに言われたという理解をされてるでしょうか?

今泉氏:あの、その点については私どもも、ちょっとそれ以上は承知はしてございません。

記者(毎日新聞):コントロール下にあるっていうふうにお考えでしょうか?東電さんは。

今泉氏:あの…私どもとしましては先ほど申しました通り、この汚染水対策については今、国のご指導をいただきながら一生懸命対応しているところでございます。

記者(毎日新聞):コントロール下にあると考えているのか、考えていないのかという質問なんですけど。

今泉氏:私どもとしては、この状況を1日でも早く安定した状態に持っていきたいと。

(「報道するラジオ」)
マコ:影響は無いんではなく、影響は小さいと考えておりますみたいな言い方をされてましたね。
(影響は小さい?)

(2013年9月9日 東京電力会見)
マコ:告知濃度より低いけれども、影響はあるということですね。分かりました、ありがとうございます。

今泉氏:影響は少ないと。

<排気筒の倒壊の恐れを指摘>
(取材者のインタビューに)
私、漫才の突っ込みなんで、すごく臨機応変に割とたぶん突っ込むんですよね。いろいろ左右に振って怒らせてみるとか。突っ込むっていうのは、ポロって本音が出たり、ポロって教えてくださったりするので。これも芸人の癖なんですけど、終わった後すぐに仲良くなりに行くんですよ。「すいません、さっき私ちょっと突っ込み過ぎちゃって」みたいな感じで謝りに行くと「いいよ、いいよ」みたいな感じで仲良くなって(マコ)

(おしどり家のリビング)
マコ:どんどん今、情報が出なくなっているので。昔から出てなかったんだけど、さらに出ていなくなってるので。大気中にどれくらい放射性物質を出しているのか、っていう質問に関しては3か月かかりましたね。
 1・2号排気筒の切れ目のその後の写真を撮っているんだから公開してくれっていうのは、半年かかったかな。

・排気筒の写真とは2013年9月、東電は1・2号機排気筒の中ほどに複数の亀裂があると発表した。地上66mの高さに東西南北に破断5か所、変形3か所。水素爆発の影響とみられている。亀裂より上の重量は120トン。倒壊すると使用済み核燃料プールを直撃する恐れが。
・マコは倒壊の危険があるので、劣化の状況を確認するため写真を出すよう要求し続けた。6か月後、ようやく写真を東電は出した。その危険性を地元の議員にも伝え、事態は少しずつ動いていった。
・原子力規制委員会も東電に対し、排気筒が倒壊したらどれくらいの放射能を放出するかリスクの評価を求めた。昨年4月、東電は上半分の解体を2018年度に着手すると発表した。

<作業員からのメールで追及したことも>
(おしどり家のリビング)
ケン:東京電力の会見中にマコちゃんの携帯が鳴るときあるよね。
マコ:あるある。
ケン:ホットラインというかね。
マコ:そう。記者会見を見ている作業員の方から連絡が来て、今の東京電力の発表間違ってるから、こうやって質問したらいいよっつって。

・作業員からメールも届く。

「両足骨折」「一人がタンク内に落ちたということみたいです」(福島第一の作業員からのメール)

マコ:結構ね、作業員の方ね、記者会見見てる。
ケン:見てるの?
マコ:うん、言ってた。作業員の人たちに私たち有名になってた。

・マコはいつもパソコン越しに東電と向き合う(ケンが必要な資料を即座に出す)。

(2013年10月9日 東電会見)
東電 原子力・立地本部長代理(当時)の尾野昌之氏:11名のうち6名に身体汚染があり、今「F」と書いている最後の1名、これは除染を現在やっているところということでございます。

(おしどり家のリビング)
マコ:作業員の方からメールが来て、いやいや東京電力は問題ないって言ったけど、1人だけかっぱがねレインコート、防水のね。防水の作業服、かっぱがなくて頭から汚染水をかぶって。で、もうその放射性物質の汚染が上半身にこびりついてしまって、汚染が取れなくて今も半泣きでずっとたわしでこすって除染をしている人がいるよっていうことを、メールで作業員の方から聞いたんですよね。
ケン:会見中にね。
マコ:会見中にね。

(2013年10月9日 東電会見)
マコ:現場に確認しますと頭からかぶったということだったのですが、全面マスクの上からかぶったという状況だったんでしょうか?

尾野氏:ちょっと、どういう程度かということはありますが、その飛沫を浴びてるということになります。

マコ:鼻口部のスミア試料などは取られたんでしょうか?

※スミア試料:放射能検査するためにこすって採取した試料。

尾野氏:顔面への汚染がございませんから、特にしてないかと思います。

(おしどり家のリビング)
マコ:いや、あの何も問題がないっておっしゃいましたけど、1人だけ作業員の方にかっぱがなくて、それで頭から汚染水をかぶって今も汚染が取れていない方がおられますよね?って言ったよね?マスクはしてるんですけどね。結構、何かやっぱり隙間から入って、歯ブラシで鼻の穴とかを掃除しないといけなくって、すごい大変だったって。そしたら東京電力は、水を使う作業は確実にかっぱを着ないと作業できないことになっておりますので、そのような方はおりませんって言い切ったんだよね。で、それを東京電力に言うと、ちょっと待ってください、確認しますみたいになって。それで2日後の記者会見で…。

(2日後の東電会見)
尾野氏:先日11名の作業者全員がアノラックを着てるというふうに私、申し上げましたけれども、正確に確認してみますと工事担当者、こちらの方がアノラックを着ていなかったということでございますので。

(おしどり家のリビング)
マコ:でもそれ作業員の方からメールが来なかったら、何事もなかったで済ますつもりだったよね。
ケン:そんな感じやったもんね。
マコ:うん。

<作業員から辛い生の声を聞くことも>
(おしどり家のリビング)
マコ:私、取材のいろはとか全然分かんないんでオリジナルでいろいろ開拓していって、まあいろいろ…あれですけど。散髪屋さんに紹介してもらえるのが一番いいです。作業員の方がが散髪にね理容院、理髪店行くと結構話すでしょ?めっちゃいろいろ話すから、理髪店の人がすっごい詳しいの。で、理髪店の人と仲良くなって、この人と話できるから紹介してあげるよっていうルートは堅い。そうそうそう…いろんな人と知り合える。
 20歳代の作業員の方は「もう結婚できないだろうな」とか「結婚しても子どもは持たないな」とか…。
ケン:そうやね。
マコ:言う方もおられて…。
ケン:ホンマやね。
マコ:それは…すごい辛かったね。

<招かれたドイツの国際会議で言われたのは>
・2014年、ノーベル平和賞を受賞した核戦争防止国際医師会議に、なぜかおしどりがジャーナリストとして招かれた。

(おしどり家のリビング)
マコ:「すいません、私芸人ですよ」って言って。「I am a comedian」って返事したんですよね。そしたらドイツ側から、ドイツの方から「知っています」と。おしどりはアコーディオンと針金を使う漫才師だということをよく知っていますって来たので、ちょっとびっくりしたと思って。

・ドイツでインターネットの東電会見を見ていたドイツ人がおしどりを人選したのだ。

(講演会)
マコ:ドイツの連邦放射線防護庁の役人の方に取材したんですよね。原発事故の後の住民の帰還のレベルが年に20ミリシーベルトでは問題ないということになって、みんな戻りたい人は戻ってもいいということになりましたと言ったら、とても驚いていました。「本当か?それは事実か?」と。で、何でかっていうとドイツの法律では、年20ミリっていうのは原発作業員の年間線量限度なんですね。なのでドイツでいったら、小学校に原発を作るのと同じ意味になると。「本当に年20ミリか?子どもも妊婦もか?」って何度も聞かれました。「本当です、本当です」って言うと、その次に彼に言われたのは「日本の国民はそれを受け入れたのか」って言われました。「ドイツの国民はそんなこと許さない」と。

<ローマ教皇から手紙を貰う>
・旅先ドイツからマコはローマ教皇に手紙を書いた。

ローマ教皇様
子どもの被ばくを危険だと考える母たちは、科学的でないとなじられます。


(おしどり家のリビング)
マコ:教皇様からお返事をいただきまして。びっくりした。

「ジャーナリストとして真実を追究し、伝え、より平和な社会に貢献されてください」

<みんなで情報をシェアできたらという思い>
(講演会)
マコ:何で取材し続けているかが分からないから、想定外だから厄介だと。で、いろんな圧力をかけてもあまり潰れないからややこしいって思われてるんですって。
ケン:純粋な思いに弱いんですね。

(おしどり家のリビング)
ケン:会見が終わって前にぶらさがりで出て、他の方が質問しているときにマコちゃんはこういうメモを見つけんのよね。

※ぶらさがり:記者が取材対象者を取り囲んで行う取材。

マコ:「マコちゃんは適当なとこでカットして下さい」って書いてあったんだよね、びっくりした。質問するときは「おしどりさん」って当たることもあるけど、あんまり名前呼ばれたことないでしょ?私、東電内部でマコちゃんって呼ばれてるんだっていうことにちょっとビックリした。あれ、マコちゃんってそんな面と向かって呼ばれたことないよと思って。

・(ケンのナレーション)この6年で東電の会見を担当された方も引き継がれて全部で9人。皆さん、マコちゃんのことをどう見てたんでしょうね?

(講演会)
マコ:誰かが情報を教えてくれるから、誰かが知識を教えてくれるからじゃなくて、本当にその情報は正しいんですか、その知識は正しいんですかって自分で判断できないといけないからね。それはとても面倒くさいことなんですけど、でもやっぱりやって行かないといけないしね。
ケン:全部自分でやるのはちょっと難しいですけど、みんなで分担しながらね。
マコ:みんなで、それぞれの分野でものすごい想定外が増えて、いろいろシェアできたらいいなっていうのが理想。
ケン:自分はこれが得意やから、こっちやっとくねみたいなね。
マコ:私、原発事故のプラント状況やるんで。あっ、じゃあ私、貧困やるんで。ああ私、高江やるみたいな感じで。
ケン:僕、家でごはん作るからね。
マコ:あっ、ありがとうございます。
ケン:そういう感じ、そういう感じですよね。

<2巡目の検査で甲状腺がん疑いが増えた事実>
・今から6年前の事故当初、初期被ばくの検査は県民のストレスになるなどと、行政は測定は殆ど行わなかった。チェルノブイリで初期被ばく調査がいかに大切か経験したにも関わらずだ。その結果、放射線による健康への影響は深いベールに包まれた。

(おしどり家のリビング)
マコ:2011年、12年、13年、14年ぐらいまでは原発事故の影響は出ない。でも不安解消のために健康調査をしましょうっていうスタンスだったんですけど、大きく雰囲気が変わってきたのは、子どもの甲状腺検査の2巡目の結果がどんどん増えていったから。
 2巡目の検査でまた甲状腺がんの悪性ないし悪性疑いが数十人をね超えたから(62人)。1回目で何ともなかった人が甲状腺がんになっていってるんだっていうことが分かってきてから、すごい雰囲気が変わって。

※1巡目検査:不安解消のために精密検査が必要な子どもたちを探し出す。
※2巡目検査:長期にわたって健康をチェック。

・甲状腺は進行の遅いがんと説明してきたのに、1巡目で何でもなかった子どもが短期間に62人も悪性ないし悪性疑いに進行した重い事実。

※検査2巡目で増えた悪性または悪性疑いの人数:68人
※そのうち先行検査で何でもなかった:62人

(おしどり家のリビング)
マコ:検討委員会の委員の中でも、これはひょっとしたら放射線の影響は考えにくいっていう、あらかじめ何か先入観で調べるんじゃなくて分からないっていうスタンスで調べないといけないっていうふうになってきたよね。

<市民が選ぶジャーナリストの賞を受賞>
・昨年の暮れ、おしどりマコ・ケンの2人は晴れやかな場で照れくさそうだった。市民が選ぶジャーナリストの賞を受賞したのだ。おしどりをこの賞に推薦した都留文科大学講師の丸浜江里子氏はこう言う。

かつて井上ひさしが「難しいことを優しく、優しいことを深く、深いことを面白く」と言った言葉がありますけど、あの2人を見てるとすごくそいうふうな感じ。それからお2人がとってもオシドリでね(丸浜氏)

・心に決めていることがある。この子(アコーディオン)を売らなくてはならなくなったら、原発からすっぱり手を引く。

・(ケンのナレーション)福島から帰って大泣きした日もあったね。当てられなくても手を挙げ続けたね。これからもいろいろあるんだろうね。

・6年が経って、原発事故のこと、放射能のこと、忘れようという空気が強い。しかし半減期30年のセシウムは、まだ9割弱残っている。6年が経って、原発事故の集団訴訟の原告が、願いが届かないまま何人も亡くなっている。6年間、取材してきたマコはその裁判を傍聴した帰り…(泣いている写真)。

(取材者:最後にひと言)
はい。自分で知って調べて考えること、それはいつでもどこでも誰でも出来ることだと思います。大切なのは中立ではなく独立すること。そういう方が増えてくださったらなと思います(マコ)

1人増えたよ、僕(ケン)

(2017/2/15視聴・2017/2/15記)

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