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【NNNドキュメント’16】夢と土俵と草原と モンゴル人力士の光と影

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【NNNドキュメント’16】
「夢と土俵と草原と モンゴル人力士の光と影」

(日本テレビ系列・2016/10/10放送)
※公式サイト:http://www.ntv.co.jp/document/

<感想>

 現在、横綱3人がモンゴル出身。番組では2010年に不祥事を起こして引退した朝青龍については触れませんでしたが、元を入れればさらに1人増えて4人という状況、相撲にちょっと興味がある人なら誰でも知っている話です。

 まあ、それについて日本人横綱を待望するあまり、彼らに対して辛い評価を下すというのは筋違いな話です。仮にそれが嫌だと思ったとしても外国人に門戸を開いている以上、結果がそうなっていることを受け入れるしかないはずです。

 それよりも24年前に初めて日本へ来て、そして道を切り開いていったという歴史をみると、運動能力の差はもちろんあるかもしれませんが、精神力の差というかモチベーションの差というのは大きいのではないかと思ってしまいます。

 以前に比べて力士に憧れる若者が減っているという話も聞きますが、それも実力本位の世界とはいえ中学、高校を卒業したばかりの若者が、ややもすれば目が出ずに失業というリスクもある世界に飛び込むのは、かなり勇気が要るわけですから、職業としての保障をある程度するなど、今風に変えていくようなことも必要なのではないでしょうか。まあ、これは日本人力士贔屓の話になってしまいますが(苦笑)

 それはともかく白鵬たちは日本国籍を得ない限り、現状では引退後は親方になれないということを初めて知りました。力士は多国籍OK、でも指導者の実質的なライセンスは国籍制限付き。これまたある意味おかしな話のような気がしますね。過去の横綱でみると武蔵丸関は日本国籍を取得し親方になっていますが、今後この3人の引退時には問題になってくるのではないでしょうか。その辺りをどうするのでしょうか。見守るしかありませんが、気になるところです。

<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>

※見出しは当方で付けました。

去年、最多優勝記録を達成したときにモンゴルの人たちが歌を作ってくれた(白鵬)

モンゴルの血にみなぎる気高き誇り
馬上の民が歓喜し讃える声また声
不屈の横綱の若く たくましき 勇姿


・そばで見るその表情。横綱・白鵬の密着取材をした。記者の名前はオユウンチメグ・ホンゴルズル(35)、中京テレビで報道記者をしている。モンゴルから日本に来て14年、疑問に思うことがあった。
・日本の国技ともいわれる相撲、しかし今の横綱は3人ともモンゴル人。一体どうやってその地位を築いてきたのか。頂点に立つ横綱・白鵬に聞きたいと思った。
・去年名古屋に来た横綱を始めて取材。声をかけたらモンゴル人が日本で記者をしていることに驚き、密着取材を受けてくれることになった。多忙な横綱、取材は移動中の車の中でということも。

「引退」という言葉は横綱になった人の頭の中に常にある(白鵬)

・最近は土俵の上での振る舞いを巡って品格が取り沙汰されることも。横綱として異例の技を繰り出す背景には何があるのか、知りたいと思った。
・優勝した土俵の上で見せた涙には、どんな思いがあるのだろうか。その思いを辿ると、最初に来日した力士たちの集団脱走に行き着いた。24年前のことである。歴史は全てここから始まった。
・相撲に懸けた男たちの光と影。モンゴルと日本の狭間で、それは何を映し出しているのだろうか。

<24年前に初めて弟子入りしたモンゴル人の力士>
・2016年3月、大阪。午前中の稽古を終え食事を摂った白鵬。力士としてもう一つ大事な仕事が残っていた。

寝ることも、もう一つの仕事。激しい稽古をして使った筋肉を、寝て大きくさせて復活させないとダメ(白鵬)

・30分以上の昼寝が日課だ。しっかり睡眠を取るためにチューブの付いたマスクをはめる。
・2016年1月、東京。白鵬は部屋の新年会に出席していた。同席していたのは元力士・旭天山のバトムンフ・エンフバトさん(43)、日本国籍を取得し今の名前は佐野武だ。

自分が入門したときは、すでに大経験者(白鵬)

(相撲)教習所の指導員をやっていたので、仲良くさせてもらった(佐野さん)

・佐野さんは日本の土俵を目指して来日した最初のモンゴル人の一人。歴史の出発点に何があったのか、知られざる過去を辿った。
・1992年、当時のモンゴルは平均月収が日本円で1500円ほどという時代、日本に行けばその数百倍は楽に稼げると聞き、5人の若者たちと相撲部屋に弟子入りした。
・しかし半年後、想像を絶する稽古の厳しさとホームシックで集団脱走してしまう。このとき6人のうち佐野さんだけ脱走計画に加わることを拒み、相撲部屋に残った。

全員が逃げ帰っていたら、モンゴル人の相撲への道はそこで終わっただろう。だから佐野さんの功績は大きい(白鵬)

・当時、佐野さんにはどうしても日本で相撲を続けたい理由があった。

少しでも親を楽にさせたい。1人でも出て行けば食費が浮くと思っていた。家を買えるぐらいのお金を貯めて帰るつもりだった(佐野さん)

・逃げた5人を親方と一緒に説得し、2人が戻ってきた。その後、人気力士となった旭鷲山(最高位:小結)と旭天鵬(最高位:関脇)。この3人でモンゴル人力士の道を切り拓くことになる。

朝起きると“まわし”を渡されたが、消防車のホースのように硬くて痛くて、人前にパンツ一丁で立っているようなもので恥ずかしかった(佐野さん)

・入門当時の四股名は旭嵐山、初土俵は白星だった。

<自分への批判の声を白鵬はどう感じているのか>
・そして遅れること9年、白鵬が初土俵を踏んだのだ。入門当時は62kgしかなく、大して期待される存在ではなかった。しかし稽古に励み、入門から6年という早さで横綱に昇進。歴代最多優勝の記録も打ち立てた。
・だがここ数年、その振る舞いが非難の的になることも。モンゴル人の後輩力士の照ノ富士に対してダメ押し。さらにまさかの猫だまし。格下の力士が使う奇襲というイメージがある技を横綱が使い、場内は騒然となった。横綱の品格がない。そんな声が聞こえてくるようになった。批判の声をどう思っているのか。

(モンゴル人として日本の横綱は務められていると思いますか?)
100%完璧な人間なんていないとよく言う。完璧に務められているとは言いづらいし、全く出来ていないとも言えない。相撲が好きだから取組のビデオをよく見る。体が小さかったからか、舞の海関の取組をよく見ていた。彼が猫だましをやっていた。横綱だから猫だましをやってはならないというルールはないと思う。叩かれることを知っていてやるということは、勇気を買ってくれという感じ(白鵬)

・初めて聞いた横綱の胸の内。相撲を極めるために、いろんな技を試したい気持ちが分かる気がした。
・3月の春場所、白鵬はまたも批判を浴びることに。結びの一番の対戦相手は横綱・日馬富士。白鵬が負ければ稀勢の里との優勝決定戦となる。勝負はあっけなく終わった。立ち合いで変わった白鵬、4場所ぶりとなる優勝が決まった。しかし詰めかけたファンからは強烈なヤジが飛んだ。そして横綱が謝罪した。
・土俵の上で見せた涙の理由は、何だったのか。場所直前のインタビューで横綱としての葛藤を語っていた。

(春場所を前に何か焦りは?)
もちろんある。横綱になった人は「引退」の2文字が常に頭の中にある。優勝というより、その場所をどうやって無事に終わらせるか。それは横綱になった人にしか分からない(白鵬)

<日本国籍がないと親方にはなれない現行の制度>
・勝てなくなったら引退するしかない横綱。引退後は親方になり後輩を育てるのが自然な流れだ。しかし今の規定では、日本国籍がないと親方にはなれない。つまりモンゴル国籍のままでは規定が変わらない限り、引退は完全に相撲から身を引くことを意味する。

(国籍を変える考えは?)
国籍を変えるかどうか今はあまり考えていない。それはその時が来たら決まることなので。国籍を変えずに相撲をとれるなら、国籍を変えずに親方になれないのか。相撲を私から切り離すことは出来ない。私も相撲から離れない。両親を愛せない人が他の人を愛せるか?母国を愛せない人が日本を愛せるか?(白鵬)

・白鵬がモンゴル国籍のまま愛する大相撲の世界に残るには、現役を続けるしかない。それには横綱は勝ち続けるしかない。モンゴル人が横綱を務め、日本の相撲を背負って行くことの難しさを見せつけられた気がした。

<24年ぶりにモンゴルへ里帰りした元力士>
・モンゴル人として初めて相撲部屋に入門し、新しい道を切り拓いた元旭天山の佐野さん。15年間連続出場を続けたものの、僅かな場所手当しかつかない幕下止まり(最高位:東幕下13枚目)。太れない体質が災いした。相撲に関わり続けたいと日本国籍を取ったが、2007年に引退を表明。白鵬が横綱に昇進した年だった。
・自ら事業を起こしたこともあったが、このときは自動車工場で塗装工。妻や娘と離れての一人暮らしだ。引退から8年が経つ。

たまに相撲を取っている夢を見る。勝てそうでなかなか勝てないという夢。夢のなかで土俵に上がろうとしてベッドから落ちそうになったり。しょうがいない。16年近くやっていたから、もう体に染みついているんだろう。でも相撲は良いスポーツだ(佐野さん)

・モンゴル相撲「ブフ」の大会が開かれていた。日本の相撲と似ている点も多いが、大きく違うのは土俵がないことだ。頭や背中、肘などが地面につくと負けになる。モンゴルの男なら誰もが経験する国民的なスポーツ。白鵬や元旭天山らも子どもの頃から親しんでいた。

(日本の相撲は見ますか?)
相撲はテレビで見ますよ。いいですよね、面白い(モンゴル人の男性)

日本人はすごいと思う。外国人が国技で活躍し、ずっと優勝し続けても認めているのがすごい(別の男性)

・今年2月。旧正月のモンゴル、離れて暮らす家族がふるさとに帰ってくる。元旭天山の佐野さんも里帰りし、24年ぶりに実家で旧正月を祝うと聞き、ホンゴルズル記者が訪ねることにした。
・きょうだいや親戚が勢揃い。この日はみんな民族衣装でご馳走を囲む。家計を助けようと18歳で親元を離れ、海を渡った。話題は自然と日本での苦労話になった。

(耐えることがたくさんあって大変だった?)
大変だった。入門当時の日本にモンゴル人は大使館の職員と数人の留学生しかいなかった。モンゴルに国際電話をする時、1分間1000円もかかった(佐野さん)

・実は仲間が脱走したあの夜、佐野さんは母親に電話をかけていた。

息子から電話があって「他の仲間は逃げて一人だけ残っている」と話した。私は「目標を果たしなさい」と言った。「何のために日本に行ったのかを忘れずに夢を叶えなさい、残りなさい」と。「日本に残って目標を果たしなさい」と。でも本当はとても会いたかった。夜も眠れず心配していた(佐野さんの母親)

・母親から初めて聞いた当時の本心。本当は帰って来てほしかった。親のためにと思い入った相撲の道。他の仲間ほどには出世できなかった。でも…。

息子は力士として力が足りなかったかもしれない。でも心が横綱なんだ(佐野さんの父親)

・言葉も通じない遠い日本に根を下ろした佐野さん。24年もの歳月をかけてモンゴル人力士たちは、その幹を大きく伸ばしていた。

<覚悟をもって臨む横綱、そして再出発する元力士>
・白鵬が土俵で見せた涙から2か月、大相撲夏場所は終盤を迎えていた。全勝で並んでいた白鵬と稀勢の里が激突、最大の山場を迎えた。初優勝と横綱昇進を懸けて挑んで来た相手に対し、格の違いを見せつけた。あの日のブーイングは拍手に変わっていた。

引退するのは簡単。やめるのは簡単。やれるものなら長くなって、終わった後に後ろを見て、大きな山の上に自分がいるような気がする(白鵬)

・たくさんの人に祝福を受ける白鵬を遠くから見つめる人がいた。元旭天山の佐野さん、新しい仕事を見つけ再出発していた。

色々あって苦労もした。しかしモンゴル人横綱が4人も生まれ、その1人が37回も優勝し、誇らしく思う。自分は間違っていなかった(佐野さん)

・24年前、その道は始まった。

(2016/10/13視聴・2016/10/13記)

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