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【NNNドキュメント’16】傷む心

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【NNNドキュメント’16】
「傷む心」

(日本テレビ系列・2016/3/21放送)
※公式サイト:http://www.ntv.co.jp/document/

<感想>

 震災によって直接心が傷んだ人、震災をきっかけに様々な問題が噴出してしまった人、つい「被災者」と一括りにしてしまいがちですが、一人ひとりそれぞれの心の問題というのは簡単には解決できないことだと思います。

 そして木原さんのようにそれに寄り添いサポートする人たちの役割が求められているのではないでしょうか。目にみえる形での復興とともに、もっと国や自治体の支援がなされるべきでしょう。

 と同時に、これは震災に限ったことではないと思います。私の身の回りでも「心の病」に患っている方がいます。ストレスの掛からない社会などないわけですが、体の限界を超えて仕事が続けられなくなってしまう人を「弱い人間」だと切り捨てるのはなく、温かく包み込んでいくような社会が必要ですね。誰もが起こりうる問題なのですから。

<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>

※見出しは当方で付けました。

・今も続く喪失の痛み。あの日から家族の絆は少しずつ綻んでいった。苦しみや悲しみに寄り添う人がいる。始まりは5年前の大震災。
・その直後から被災した人たちを見つめてきた。今なお求められる心のケア。町の復興は進んでいくのに、深く長く痛む心。

<母と祖父母を亡くした男性>
・今年3月11日、306人が犠牲となった宮城県亘理町。海から4kmほど内陸に被災者が集団移転した住宅地で2年前から一人暮らしをしている亨さん(34)。あの日亡くなったのは母と祖父母の3人。彼らは津波から逃げ遅れた。

「祖母に肩を貸して中学校に向かった。その途中で(津波に)飲まれた。あのときこうすればよかったとか、後悔の念というか」(亨さん)

・母親と一緒の写真、残されたのは亨さんが赤ん坊だった頃の数枚だけ。彼は12年前から大腸の病気に苦しんできた。いつも励ましてくれたのが母親だった。

「一番頼れる人だった。夢に出てきて励ましてくれた」(同上)

・なぜ自分だけ助かったのか5年間自らを責め続けてきた。次第に引き篭もるようになった。
・被災者の孤立を示すデータがある。宮城県による調査では「相談相手がいない」と答えた人は5人に1人、男性はさらに多く4人に1人で、ここ数年殆ど変わっていない。

「何かあるとすぐ震災や震災以後の生活の苦しさを思い起こし、うつうつとした気分になってしまう人たちもいる。これから新しい課題がいっぱい出てくるのではと思っている」(みやぎ心のケアセンターの白澤英勝センター長)

・孤立しがちな被災者をどう支えるのか、この日ある集まりが始まろうとしていた。主催したのは被災者の生活をサポートする亘理町の支援チーム。招いたのは65歳以下の働く世代の男性たち、その名も「Men's Club」。支援チームの一人である臨床心理士の木原英里子さんは、これまで被災者の心の問題に向き合ってきた。そこには亨さんの姿もあった。男性40人に呼び掛けて、何とか3人が集まった。

「口下手なところがある」(和広さん)
「引き篭もってますから。少しずつ外に出るようにしようと思っています」(参加者の男性)
「家族3人と私が流されたんですけど、何とか私だけ助かって。こっちの方に住んでまだ馴染めてない部分もあるんですけど、これから頑張っていこうと思ってます」(亨さん)


・地域で孤立しがちな働く世代の独身男性。

「おはようございますとかこんばんはとか言われても、はて誰あの人?ってなっちゃう」(和広さん)
「顔見て分かるの班長さんくらい」(参加者の男性)


<震災によって兄弟の間のすれ違いも>
・何気ない会話が始めの一歩だ。この日参加した和広さん(50)、木原さんたちが気に掛けているうちの一人だ。この日、彼女ら支援チームのメンバーが彼の住む被災者のための公営住宅を訪ねた。数日前に母親は老人ホームに入り、現在は弟と二人暮らし。今日の相談は無職の弟の正広さん(41)のことだった。

「将来的には自立して生活するようにしないと」(正広さん)

・ただ正広さんは障害を抱えている。去年春に脳出血の発作を起こした。今も手足に麻痺が残り脳機能障害も患っている。弟の自立について兄の和広さんに説明した。だが木原さんには兄の様子が気に掛かった。

「お兄さんも普通に生活がしたいかも。1人で全部介護から何からやってきたなら、もう限界でしょう」(木原さん)

・海沿いの荒浜地区、和広さんは弟と母の3人で暮らしていた。自宅があった場所、かつて家が建ち並び兄弟が遊んだ町。しかし馴染みの土手からも津波が溢れ出て、今や変わり果ててしまった。
・兄弟が頼みのはずだった。しかし二人の間に苛立ちが募っていった。すれ違っていく兄弟の思い、正広さんが脳出血で倒れたのはそんなときだった。震災は兄弟の絆も傷つけていた。
・最初の訪問から1か月、木原さんたち支援チームは再び兄弟の自宅を訪ねたが、暮らしている気配がなかった。兄弟は揃って入院していた。持病を抱えていた和広さんは、母親を老人ホームに入れる対応に追われるうち倒れてしまった。そのうち弟も体調を崩し自ら救急車を呼んだ。
・そのときの弟の荷物を見て和広さんは唖然とした。これ以上弟の面倒はみられないと言う。2人で住むことを選択するか、それぞれの人生を歩みながら行くのかと木原さんは尋ねた。

「正直、自分ではバラバラの方がいいと思ってる。本人は生活保護にしなきゃいけないんでしょうけど」(和広さん)

・和広さんは、一旦弟との別居を考えることにした。

「(被災者たちが)もともと抱えていた問題。普段の生活なら気にしない、大きく問題にならなかったことが、震災によって何もかも崩れ、捉え方が食い違って傷つけ合ってしまったのかもしれない」(木原さん)

<酒を飲む日々の男性、この5年で折り合いをつけてきた>
・ある休日、木原さんは別の被災者を訪ねた。向かった先は岩手県大船渡市、かつて木原さんが支援した人が今も仮設で暮らしている。一人暮らしの勝義さん(78)。
・震災直後から木原さんは大船渡に入り活動してきたが、避難所で目を留めたのが涙を浮かべていた勝義さんだった。傍らには沢山のお酒があった。一人で暮していた自宅は全壊、それでも同じ場所で暮らすつもりでいた。

「全部つぶして片付けてもらったら、家を建てるって俺は言ったんだから。役所の人たちは、高潮のときはここらまで水が来るからダメだって、こうなったわけ。酒飲むしかねえのす」(勝義さん・2011年)

・やり場のない気持ち、朝からお酒で紛らわせていた。気持ちが落ち着くように木原さんたちは1年を掛け、何度も話を聞いた。あれから5年、今も手元にお酒はあるが…。

「今、3時半過ぎにならないと飲まねえことにしてるんだ。誰もいなくなるから」(現在の勝義さん)

・元の自宅に戻ることは諦め、公営住宅に移り再出発すると決めていた。

「何とか折り合いをつけようと頑張った5年間だったんじゃないかな」(木原さん)

<それぞれ一歩を踏み出そうとしていた>
・宮城県亘理町、すれ違ってしまった兄弟をどう支えるのか。今年2月、木原さんたち支援チームが動き出した。訪ねたのは障害者の就職をサポートする団体、まずは弟の自立を目指した。

「お兄さん自身もできれば弟と距離をとって生活したいと」(木原さん)

・2週間後、支援団体のスタッフが弟の正広さんを迎えに来た。障害者の施設を見学に行くという。

「大きな施設で住みながら仕事もできて、指導員もいて生活も仕事も見てくれる」(スタッフの女性)

・正広さんは一歩を踏み出そうとしていた。
・同じ頃、2回目の「Men's Club」が開かれ、兄・和広さんが仕事に就いたことを伝えた。
・そして頼りにしていた母親を津波で亡くした亨さん、最近は外に出ることも増えてきた。
・今年3月11日、母や祖父母が眠る墓を亨さんは訪れた。今、支援チームに就職の相談をしているという。少しでも前に進みたい。

「あとは仕事に没頭すれば大丈夫だと思う」(亨さん)

・深く長く痛む心、それでも生きていくために。

(2016/3/22視聴・2016/3/22記)

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