【NNNドキュメント’16】
「その哭き声が聞こえるか~避難区域の動物たち~」
(日本テレビ系列・2016/12/19放送)
※公式サイト:http://www.ntv.co.jp/document/
<感想>
今日はすみません。朝から外出して夜遅めに帰ってきたため視聴番組は一つのみ。しかも感想はやや短めになります。本来なら福島第一原発事故の影響という重いテーマなのですが、ご了承くださいませ。
多くの人たちが避難して無人となった町に野生動物が増加したり、ペットたちが野生化したという話は以前NHKでも取り上げられていました(→【NHKスペシャル】被曝の森~原発事故 5年目の記録~)。
たった1年でもここまで野生動物が町にやって来るのかと思いましたが、民家の荒れ様をみると胸が痛みます。もはやそこで生活を再開するというのは相当厳しいでしょう。そうしたことも含めて電力会社の補償はきちんとすべきだと思います。
また野生化した猫や犬たちを保護している男性の話。ボランティアでされているということで、本当に頭が下がる思いです。さらっと紹介していましたが、国が保護活動を打ち切っているのはどういうことなのかと思いますね。福島の復興を進めていると言って五輪を誘致したのではないのか?避難区域の解除自体も現場の除染の状況などの実態と離れているし、そういうところに国の不誠実さが現れているとつくづく思います。
<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>
※見出しは当方で付けました。
・原発事故によって人が消えた町。そこを我が物顔で歩くイノシシの群れ。このとき町の主は動物たちになっていた。そのふるさとに人々が戻り始めた今、動物たちは帰還を妨げる存在だ。愛されていたペットたちも変わっていた。原発事故から間もなく6年、避難区域の動物たち。その声が聞こえますか?
<無人になった町に野生のイノシシが急増>
・2011年3月、住民は着の身着のままふるさとを追われた。福島第一原発の事故、避難指示が出されたのは周辺の11市町村。人が居なくなった町、8万人が強制的に避難させられた。
・事故から1年余り、一部の地域では日中の立ち入りが許されるようになる。南相馬市小高区の農家・根本洸一さんと妻・幸子さん。懐かしい我が家だが、納屋の肥料が食い荒らされていた。さらにその年の秋、試験的に栽培した田んぼの米はほぼ全滅だった。検査用に僅かな量しか取れなかった。
イノシシに食べられた(根本さん)
・事故から2年、富岡町も住民の立ち入りが可能になった。するとそこには畑の作物を食い荒らす動物の姿が。
やっぱり人が居ないので、もう動物天国になっているということですよね(農家の男性)
・原発事故から3年が過ぎる頃には、町の中を悠然とうろつく姿が頻繁に目撃された。この頃から自治体も駆除に乗り出すが、イノシシは家畜だったブタとも交配して急激に数を増やしていく。ふるさとは夜も動物たちに支配されていた。
・しかし避難区域の立ち入り制限が徐々に解除されると、動物たちが自由に暮らせる範囲は狭まっていった。復旧が進む町、そこに戻ってくる人にとって動物たちは厄介な存在になっていく。
・浪江町の森野俊恵さんの自宅は無残な有様だった。
(この下、全部イノシシ?)
イノシシだ。みんな俺、片付けたんだもん。ネズミの糞だ。大量に発生してた。うちの母ちゃんはもう二度と来ることはないと。ここの家には住みたくない(森野さん)
<アライグマの野生化と急増も>
・そして厄介な存在は他にもいる。福島大学環境放射能研究所の奥田圭特任助教が動画を見せてくれた。
屋根裏に入り込んでしまったアライグマですね(奥田氏)
・暗がりを好むアライグマ。避難して無人となった家の屋根裏に潜り込んで、住処とする。
糞尿の中には感染症にかかる菌が入っている。経口感染で感染症のリスクも高まる(同上)
・アライグマに荒らされた家を見て、戻ることを諦める住民も少なくない。
・奥田さんがこの日、向かったのは今も避難指示が続く浪江町。アライグマはかつてペットとして人気があった。しかし気性が荒いため飼育が難しく、飼い主に捨てられ野生化したと言われている。避難区域で急激に数を増やしたアライグマ、人が戻るため駆除の対象になっている。
人間が住んでた場所に野生動物が入ってきて、今はもう完全に野生動物の領域になってしまっていると思うんですね。その野生動物の領域に人間が戻って来るというような状況になっていますので、やはりこれからいろいろな野生動物と人間との軋轢というものが増えてくるのではないかと考えています(同上)
・アライグマにGPSを付け、駆除に向けた行動調査を行う。自由に暮らしてきた動物たちは今、苦しい立場に追いやられている。それは野生動物に限ったことではなかった。
<捨てられたペットたちの保護に取り組む男性>
・福島第一原発の排気筒が間近に迫る浪江町の沿岸部。80km離れた避難先から毎日通う赤間徹さん。
猫が普通だったら寄ってくるはずなんですよ。それが人間をもう遠ざけて離れていくっていう。今まで一緒にいてね、もう何年も一緒に暮らしてて、その関係が本当の一瞬で壊れたっていう感じですね(赤間さん)
・赤間さんは町の許可を得て、避難区域に取り残されたペットの保護に取り組んでいる。かつて家族の一員として愛されたペットたち。しかし人との関係は大きく変わっていた。
・浪江町にある赤間さんの自宅。避難区域で見つけた約100匹の犬や猫を保護している。元の飼い主や里親に引き渡したのは、これまでに400匹を超えた。
・貯金を切り崩して犬や猫の保護を続ける赤間さん。そこまで保護活動に駆り立てるのは、原発事故の直後に見た悲しい光景だ。
爆発したときにバスで逃げるっていう話になったのね。そのバスに乗るときに「動物はダメだ」ということになったの。そこまで連れてった人たちが「バスには乗せられないからそこで放してください」って言われて。もう飼い主がね、泣きながら「誰かもらってくれないですか?」とかそういう光景もあったし。それでもうそこで放した飼い主もいるし(赤間さん)
・避難区域に置き去りにせざるを得なかったペットの数は、数千匹に上るとみられる。避難の混乱の中で飼い主とペットに訪れた突然の別れ。
・そして残されたペットたちは繁殖を繰り返し、人を知らない世代が次々と生まれる。赤間さんはこの5年の間、変わっていくペットを目の当たりにしてきた。人を知らない若い猫、ペットは野生化していた。
誰も保護しないで黙っていたんでは、なんぼでも増えていきますから、やっぱり保護して避妊去勢をしないと。住民が帰ってきたときにね、こういう動物に、犬猫に困らないようにっていうことで始めてるんで(同上)
・赤間さんが保護した犬や猫を連れて行ったのは、浪江町の動物病院。ここで獣医師の豊田正さんが避妊や去勢の手術を行う。
(繁殖力が高いというか、猫の場合は?)
1年に3回から4回繁殖する。3か月にいっぺん発情しちゃうから(豊田さん)
・これ以上、増やさないためにはこうするしかない。国は3年ほど前に避難区域での保護活動を打ち切っている。避難区域で増え続ける犬や猫が、再び人に愛される存在になってほしい。赤間さんはそう願っている。先月、冬を迎えた浪江町。赤間さんの保護活動は今も続いている。
<避難指示が解除されてきている町で起こっていることは>
・今年7月、町に人が戻ってきた。原発事故の避難指示が解除された南相馬市小高区。5年ぶりの賑わい、でもその町では…。
掘ってるのイノシシ。ほじくったところ(根本さん)
・根本さんの田んぼにはイノシシが米を狙って近づいた跡があった。動物たちに荒らされないためには、電気柵がなくてはならないものに。人と動物の境界が揺らいでいる。
本当は人間と野生動物のすみ分けができれば、ここは俺の分だよとなればいいが、それは人間の都合であって彼らはそうではないと思う。彼らだって悪くなくて、たぶん被害者(同上)
・来年春の避難指示解除を目指す浪江町。民家の庭先に仕掛けられた檻にイノシシが捕らえられていた。これまでに駆除されたイノシシは6000頭を超えた。動物たちの居場所はもう…(銃声)。
・避難指示はこれからも次々と解除されていく。原発事故から5年9か月。避難区域の動物たちの鳴き声は、ふるさとに戻る人々の足音にかき消されようとしている。
(2016/12/24視聴・2016/12/24記)
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※公式サイト:http://www.ntv.co.jp/document/
<感想>
今日はすみません。朝から外出して夜遅めに帰ってきたため視聴番組は一つのみ。しかも感想はやや短めになります。本来なら福島第一原発事故の影響という重いテーマなのですが、ご了承くださいませ。
多くの人たちが避難して無人となった町に野生動物が増加したり、ペットたちが野生化したという話は以前NHKでも取り上げられていました(→【NHKスペシャル】被曝の森~原発事故 5年目の記録~)。
たった1年でもここまで野生動物が町にやって来るのかと思いましたが、民家の荒れ様をみると胸が痛みます。もはやそこで生活を再開するというのは相当厳しいでしょう。そうしたことも含めて電力会社の補償はきちんとすべきだと思います。
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・原発事故によって人が消えた町。そこを我が物顔で歩くイノシシの群れ。このとき町の主は動物たちになっていた。そのふるさとに人々が戻り始めた今、動物たちは帰還を妨げる存在だ。愛されていたペットたちも変わっていた。原発事故から間もなく6年、避難区域の動物たち。その声が聞こえますか?
<無人になった町に野生のイノシシが急増>
・2011年3月、住民は着の身着のままふるさとを追われた。福島第一原発の事故、避難指示が出されたのは周辺の11市町村。人が居なくなった町、8万人が強制的に避難させられた。
・事故から1年余り、一部の地域では日中の立ち入りが許されるようになる。南相馬市小高区の農家・根本洸一さんと妻・幸子さん。懐かしい我が家だが、納屋の肥料が食い荒らされていた。さらにその年の秋、試験的に栽培した田んぼの米はほぼ全滅だった。検査用に僅かな量しか取れなかった。
イノシシに食べられた(根本さん)
・事故から2年、富岡町も住民の立ち入りが可能になった。するとそこには畑の作物を食い荒らす動物の姿が。
やっぱり人が居ないので、もう動物天国になっているということですよね(農家の男性)
・原発事故から3年が過ぎる頃には、町の中を悠然とうろつく姿が頻繁に目撃された。この頃から自治体も駆除に乗り出すが、イノシシは家畜だったブタとも交配して急激に数を増やしていく。ふるさとは夜も動物たちに支配されていた。
・しかし避難区域の立ち入り制限が徐々に解除されると、動物たちが自由に暮らせる範囲は狭まっていった。復旧が進む町、そこに戻ってくる人にとって動物たちは厄介な存在になっていく。
・浪江町の森野俊恵さんの自宅は無残な有様だった。
(この下、全部イノシシ?)
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・そして厄介な存在は他にもいる。福島大学環境放射能研究所の奥田圭特任助教が動画を見せてくれた。
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・暗がりを好むアライグマ。避難して無人となった家の屋根裏に潜り込んで、住処とする。
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人間が住んでた場所に野生動物が入ってきて、今はもう完全に野生動物の領域になってしまっていると思うんですね。その野生動物の領域に人間が戻って来るというような状況になっていますので、やはりこれからいろいろな野生動物と人間との軋轢というものが増えてくるのではないかと考えています(同上)
・アライグマにGPSを付け、駆除に向けた行動調査を行う。自由に暮らしてきた動物たちは今、苦しい立場に追いやられている。それは野生動物に限ったことではなかった。
<捨てられたペットたちの保護に取り組む男性>
・福島第一原発の排気筒が間近に迫る浪江町の沿岸部。80km離れた避難先から毎日通う赤間徹さん。
猫が普通だったら寄ってくるはずなんですよ。それが人間をもう遠ざけて離れていくっていう。今まで一緒にいてね、もう何年も一緒に暮らしてて、その関係が本当の一瞬で壊れたっていう感じですね(赤間さん)
・赤間さんは町の許可を得て、避難区域に取り残されたペットの保護に取り組んでいる。かつて家族の一員として愛されたペットたち。しかし人との関係は大きく変わっていた。
・浪江町にある赤間さんの自宅。避難区域で見つけた約100匹の犬や猫を保護している。元の飼い主や里親に引き渡したのは、これまでに400匹を超えた。
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誰も保護しないで黙っていたんでは、なんぼでも増えていきますから、やっぱり保護して避妊去勢をしないと。住民が帰ってきたときにね、こういう動物に、犬猫に困らないようにっていうことで始めてるんで(同上)
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・避難指示はこれからも次々と解除されていく。原発事故から5年9か月。避難区域の動物たちの鳴き声は、ふるさとに戻る人々の足音にかき消されようとしている。
(2016/12/24視聴・2016/12/24記)
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