【ドキュメント72時間】
「村長選挙 旅する投票箱」
(NHK総合・2016/11/25放送)
※公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/72hours/
<感想>
東京電力福島第一原発事故によって全村避難が続いている福島県飯舘村。村長を決める選挙のため、各地に避難している村民のもとへ期日前投票が行われ、その投票箱が運ばれていくのを追った72時間でした。
村長選挙の最大の争点となったのは来年3月の避難解除の是非、推進する現職に対して白紙撤回を主張する新人候補との一騎打ちとなりました。その是非については村民の皆さんの民意に委ねたいと思いますが、史上最低とはいえ避難先などバラバラになっている村民が多い中で70%もの投票率があったということが、私には感心することでした。本当に一人ひとりが政治に参加する意識がきちんとあるということで、低投票率の都市部の有権者は見習うというか、平気で棄権するような態度を改めるべきだと思いますね。
さて、ドキュメント72時間恒例の「年末スペシャル」に向けて「もう一度見たい72時間」の応募が行われています(→https://www.nhk.or.jp/program/72hours/form.html)。1月8日放送の「横浜 オールナイトでとんかつを」から今回までの中で一つ選ぶものと、印象に残った(その後が知りたい)人・場所を記入するというもの。
11月30日(水)24時が締切です。私は既に「投票」しました。今回の放送で出てきたおばあちゃんのように「入れた人が当選してほしいね」というのに全く同感です。
ちなみに私のもう一度見たいは「真冬の東京 その名は“はな子”」。印象に残った人は「100円温泉を愛する会」の会長さん(→「冬・津軽 100円の温泉で」)です。年末の放送が楽しみです。
<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>
・10月、一つの投票箱が車に揺られ山道を走っていた。これから始まるのは投票箱があちこち移動する、ちょっと変わった村長選挙。
飯舘村民が今、避難されている仮設住宅があるので、そちらに運んでいきます(職員)
・あの原発事故以来、避難生活が続く福島県飯舘村。行く先には今もバラバラに暮らす6100人の村民が待っている。
・ふるさとの行方を決める村長選挙。開票までの3日間、投票箱の旅に密着した。
・東日本大震災で全ての村民に避難指示が出された飯舘村。5年7か月経った今も住む人の姿はない。
・そんな中、復興を目指して村役場は業務を再開していた。役場の片隅に今回の主人公・村長選挙の投票箱が。
(全部で何か所?)
6か所ですね(職員)
・投票箱の旅は10日間。期日前投票は普通、村の中で行われるが今回特別に各地を回ることにしたという。
・開票3日前、やって来たのは今も260人が避難している相馬市にある仮設住宅。集会所に投票箱が設置された。
・10月14日(金)9時30分。村の人に挨拶して回る男性。どうやら新人候補らしい。
来年3月の避難解除、このことは村民誰も今望んでいないんです。除染の不安、そして賠償の不安(演説する新人候補)
・実は来年の春、村の避難指示が解除される予定。でもまだ不安が残る中、村に帰るのは早すぎるという主張らしい。安心できるまで待つという新人か、すぐに帰るという現職か。選択肢は2つ。
・朝10時、投票開始。お年寄りが大勢集まってきた。いつもはお茶飲み場だという場所、投票もどこかほのぼの。
・村長さんを決めるのは一大イベント。
・投票を終えたばかりの男性。手が震えているので(代理で)書いてもらったという。
・一人のおばあさんが話し掛けてきた。仮設住宅に暮らして5年。今では友達もたくさんできたという。家にはこの秋、村で採ったというキノコがつるされていた。懐かしいふるさとの香り。
・マツタケを持っている男性。昔の習慣を思い出し、つい採ってきちゃうんだって。
・戻りたいかとの質問に男性は、戻ってもまだ片付いていない。戻ってもどんな生活してらいいかという問題があると言う。
・12時31分。投票所に若い女性の姿が。サービス業の24歳女性。高校3年生で震災に遭い、50km離れた仙台で就職。苦労も多かったという。
・この日、投票したのは158人。早く村に帰りたいという現職の村長を推す声が目立った。
・夕方5時、投票終了。厳重に鍵が掛けられた投票箱。村役場で開票を待つ。
・10月15日(土)7時30分。今日の行き先は大きなお店が目立つ町なか。震災後に村の仮役場が置かれてきた福島市。
・朝9時、投票開始。さっそくすご行列。今、福島市には村民の半数を超える3700人が暮らしているらしい。
・福島市内に家を買ったという女性。まだ村には戻れないと票を投じたそう。実は除染が終わっているのは村全体の4分の1程度に過ぎないという。
・村に帰らないと決めているという男性。村に帰るより今の生活を守ってほしい。そんな思いを選挙に託す。
・投票所の近くに現職の村長が。不安も分かるけれど、早く帰らなければ村の存続自体が危ういと訴えていた。
ただただ放射能が大変だというだけ、みんなの声を聞くというだけでは前に進めないということをぜひご理解をいただきたいというふうに思ってます。白紙にしてまた1から国と闘いをやりましょうという、そんな余裕はないはずであります(演説する現職村長)
・13時32分。投票日を間違えて2度も来たというおじさん。将来、村に帰るか決めてないけど、選挙にはどうしても来たかったという。村のことがニュースになるのも減って、だんだん忘れられているのではないかと言う。
・悩みながらも票を投じる人々、村を守りたい気持ちはみな同じ。
・18歳の息子を選挙に連れてきた父親。村をなくしちゃ困ると言う。
・震災後、飯舘村の女性と結婚した男性。もともと除染作業員で入っていた。もし戻れるなら飯舘に家建てようかなと思っていると言う。
・387人の思いを乗せた投票箱。
・10月16日(日)7時5分。投票最終日。この日は飯舘村役場に投票箱が置かれる。いつもはひっそりした村に続々と車が。
・11時32分。投票を終えた若い男性。駐車場でお父さんが待っていた。震災後、別々の場所で避難生活を送っているという家族。今日はみんなで投票に来たそう。離れ離れになって以来、家族で集まりバーベキューやドライブをするようになったという。
・村の運命が決まるまで、あと少し。
・隣町に暮らす男性。選挙のついでに畑を手入れしに行くという。一緒に農業をしていた父親は2年前に亡くなった。村で暮らせる日が来たら自分はどうするのか。まだ迷っているという。妻はフィリピン出身で2年前に結婚、2人で飯舘村に来ることも多いんだとか。村を出て5年7か月、失ったことも多いけど、新しく気づいたこともある。帰り際、家の前に咲く花を奥さんが摘んでいた。
・夜6時、投票終了。投票率は70.84%、過去最低だった。
・中盤まで激しい接戦。結果は581票差で現職の勝利。飯舘村は2017年3月の帰村に向けて動き出した。
(2016/11/26視聴・2016/11/26記)
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