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【歴史秘話ヒストリア】挑戦!80日間世界一周

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【歴史秘話ヒストリア】
「挑戦!80日間世界一周」

(NHK総合・2016/11/4放送)
※公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/historia/

<感想>

 新聞社主催の世界一周レース。しかも挑んだのは女性記者という、今やったとしても面白い記事「ネタ」でしょうね。途中経過の記事はどうやって配信したんだろう。ヨーロッパには特派員はいたのでしょうけど、日本やアジア、中東などはどうだったのか。ちょっと興味が尽きないですね。

 そして一番の関心はネリーとエリザベス、どちらが先にゴールインしたのか。ネットで調べれば分かると思いますが、あえて知らないまま来週の放送までのお楽しみにしたいと思います。西回りのエリザベスが有利のように見えますが、行動力ではネリーが抜きに出ているような気がします。さてさて、どっちでしょうか(笑)

<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>

・今から120年前、蒸気の力で世界がぐーんと小さくなった時代、二人のアメリカ人女性記者がニューヨークを旅立った。一人は東へ、一人は西へ。そのミッションはただ一つ。「相手より早く世界を一周せよ!」。
・二人は19世紀末の世界を駆け抜けていった。エッフェル塔が完成し万博に沸くフランス、キャラバン行き交うアラブの国々、そして明治維新まもない東洋の神秘・日本。
・初めて訪れる世界には発見や感動が満ち満ちていた。でも女性の一人旅、危険やトラブルが連発。果たして二人は無事世界一周できるのか?どちらが先にゴールできるのか?

<旅の始まりは突然に>
・「SFの父」と呼ばれた作家ジューヌ・ヴェルヌ。「海底二万里」「月世界旅行」など数々のロマンあふれる空想科学小説を執筆した。中でも「80日間 世界一周」は彼の代表作。物語の主人公はイギリス紳士フォッグ。彼は最先端の鉄道や蒸気船を駆使すれば80日で世界を一周できると主張。証明のために旅立った。そして数々のピンチを知恵と勇気で乗り越え、見事成功させたのだった。もちろんこれは架空の物語。1873年にこの本が出版されて以来、実際に80日間で世界一周した人はいなかった。
・時は流れ1889年、その記録に同時に挑戦したのがニューヨークで働いていた二人の記者、ネリー・ブライとエリザベス・ビズランド。ともに20代で海外に出るのも初めてだったという。
・1889年11月11日。ニューヨークのワールド新聞社。世界の歴史を塗り替える大冒険の旅が始まろうとしていた。新聞社の若きエースだったネリー・ブライ(25)、得意技は体当たり取材。患者のふりをして悪徳病院に潜入したり、ブラック企業で働いて告発記事を書いたり、数々のスクープをものにしてきた熱血記者だった。
・世界一周企画もネリーが考えたものだった。ヴェルヌの小説をヒントに、世界中の船や鉄道の時刻表を徹底調査。計算上は75日で世界を一周できると突き止めた。当時の新聞記事(ニューヨーク・ワールド紙。1889年11月14日)。一面使っての大特集。

30,000マイル 超特急の旅!!
ジュール・ヴェルヌの描いた旅は果たして現実となるのか!?


・熱血記者ネリーのアイデアは、一大プロジェクトとして動き出した。彼女は急いで荷造りに取り掛かった。当時の女性の旅はといえば、トランクを何個も持っていくのが当たり前。彼女はカバン一つで世界一周の旅に出た。タテ17cm、ヨコ30cm。着るものは上着と寝巻きと下着だけ。新聞記者なのでペンや紙などの筆記用具はマスト。どうしても外せなかったのが巨大なコールドクリーム。お肌の手入れには欠かせないものだった。
・旅のいでたちもネリー流だった。左手には手提げカバン、ウール製で動きやすいデザインのアルスターコートにトレードマークのシャーロックホームズハット。ネリーは世界一周の荷物について聞かれると、いつもこう答えた。

私の旅の目的は少しでも速く旅をすること。だから周りに見栄なんて張らなければ荷造りなんてとても簡単(ネリーの旅行記より)

・1889年11月14日。ニューヨークの玄関口であるホーボーケン港。空想上の記録「80日間 世界一周」に挑む旅が、ここから始まった。ネリーが乗ったのは蒸気船「アウグスタ・ヴィクトリア号」。当時の最新の技術で建造され、大西洋航路最速のスピードを誇った船だった。最初の目的地イギリスまでは約5,000km。7日間で大西洋を横断する予定。しかし出航直後、思わぬ事態がネリーを襲った。

私は手すりに飛んでいった。船酔いだった。まさかこれほど揺れるとは、まったく予想もしていなかった(ネリーの旅行記より)

・実はネリー、海外旅行はこれが初めて。
・ちょうどその頃「80日間 世界一周」の第一報は大きな話題になっていた。そこにネリーのワールド新聞社のライバル、コスモポリタン社の編集長が読んでいた。
・編集長の予想ではネリーの東回りルートには2つの問題があった。一つは南シナ海、冬場に北東の強い季節風が吹く。船は向かい風の中を進むことになり、最悪4日ほどの遅れが出る可能性があった。もう一つはアメリカに戻ってから。予定では真冬の1月に大陸を横断することになる。大雪が降れば列車が止まりかねない。彼女と反対の西回りなら、この問題は避けられる。後から出発してもネリーより先にニューヨークに戻って、話題を独占できるという作戦だった。
・早速、一人の女性が呼び出された。業界一の美人記者エリザベス・ビズランド(28)、彼女は根っからの文学少女。シェークスピアをこよなく愛し、普段は文芸欄のコラムを担当。感性豊かでおしとやかな記者だった。
・編集長は一刻も早く出発させようと、猛烈な勢いで説得した。結局、押し切られてしまった。出発の準備に許されたのは5時間。
・ニューヨークのグランド・セントラル駅。ネリーから8時間後、エリザベスも出発。80時間世界一周、しかも女性の2人のレースという、前代未聞の旅が始まった。

今朝起きたときは、いつもどおりの毎日だったのに、夜には世界一周の旅に出ていました。私の顔はひきつり、真っ白になっています。いろいろな考えで頭が混乱し、旅を始めた最初の数時間のことは殆ど覚えていません(エリザベスの旅行記より)

・エリザベスが乗ったのは、ニューヨークと西海岸を結ぶ大陸横断鉄道。開通したのは1869年。それまで馬車で2か月以上かかっていたアメリカ横断の旅は一気に短縮された。彼女が旅したときに造られた蒸気機関車の最高時速は100km。当時、人類が手にした最も速い乗り物。アメリカ横断に必要な日数は僅か5日になっていた。
・ニューヨークを出て約48時間後、エリザベスに最初の試練が訪れた。大陸横断鉄道、最大の難所のロッキー山脈。線路は急勾配、更に急なカーブが連続する。いかに最新の機関車でも速度を落とさなければならない。旅の遅れは避けられないと思われたそのとき、彼女の前に協力な助っ人が現れた。人呼んで「つむじ風のビル」。

ビルは帰還者の乗り込むなり言いました。「時間通りに着くか、地獄に行くかだ」(エリザベスの旅行記より)

・ビルはレバーを握るや列車を急発進させた。

まるで嵐の中を進む船の様にように激しく揺れました。地面は列車の下を飛び去り、線路には火花が散っています(エリザベスの旅行記より)

・絶妙な蒸気のコントロールで、機関車は山あいをすり抜けていった。実はビルは山専門の凄腕機関士。この夜、つむじ風のビルはロッキー越えの史上最速記録を打ち立てた。
・エリザベスの目の前に広がっていたのは、果てしない海・太平洋。ここから先は未知の世界だ。ニューヨークを出て7日目、彼女もネリー同様アメリカを離れ世界へと飛び出していった。

<ネリー 秘密の世界地図>
・ニューヨークを最速の蒸気船で出発した東回りのネリー。無事、海を越え最初の国イギリスに到着した。当時のイギリスはシャーロック・ホームズが活躍したヴィクトリア朝時代。世界に植民地を広げ、大英帝国は黄金期を迎えたいた。
・船が着いたのは長い歴史を誇るま港町サウサンプトン。あの悲劇のタイタニック号が出発したのも、この港だった。船から降りるやすぐ鉄道に乗り換えようと急ぐネリー。そのとき現れたのは、ワールド新聞社のイギリス特派員。
・手渡したのは小説家ヴェルヌからの手紙。なんとフランスのアミアンの自宅に来いとのこと。80日以内にという急ぎの旅。アミアンに行くのは大きなロスだった。しかし世界一周に挑戦中の記者が「80日間 世界一周」の作者と世紀の会見。まさに特ダネだった。
・ネリーが訪れた2つ目の国はフランス。折りしもパリではエッフェル塔が完成したばかり。だが彼女はそんなパリには目もくれず、ヴェルヌのいるフランス北部の町アミアンを目指した。距離にすると300kmの遠回り。
・世界遺産にも登録されているアミアン大聖堂。フランスでも有数の歴史と文化を誇る町。ヴェルヌの自宅も大切に保存されている。ネリーが訪れた120年以上前と変わらぬ佇まいだ。
・大作家に招かれ、その自宅に足を踏み入れたネリー。偉大な空想科学の父、頭の中は冗談ばかりだった。こうなれば体当たり取材のネリー。ヴェルヌに頼み込み、書斎を見せてもらった。

驚いたことにヴェルヌ氏の仕事部屋はニューヨークの私の部屋と同じくらい狭かった。机の上には推敲中の小説の原稿が整然と積まれている。筆跡はとても美しく、目を奪われた。この小さな部屋から、あの歴史に残るいくつもの作品が生み出されていたのだ(ネリーの旅行記より)

・その時だった。古びた世界地図に、一本の線が書き込まれていた。小説「80日間 世界一周」で主人公で旅したルート。ヴェルヌが小説の構想を練った、まさにその地図だった。
・ヴェルヌが書き入れたのは小説とは異なるネリーのルート。彼女はこの先のルートを辿った。アラビアのアデン、インド洋のコロンボ、極東の横浜。自分は勿論、アメリカ人の殆どが行ったことのない未知の場所ばかり。
・ニューヨーク在住でネリーとエリザベスの伝記を書いたノンフィクション作家のマシュー・グッドマン氏は、この出会いがネリーを変えたと言う。

偉大な作家であるジュール・ヴェルヌと対等に話すこと、自分の体験を伝え、旅の話をすることはネリーにとって、とても刺激的でした。このとき彼女は分かり始めたのです。ジュール・ヴェルヌが空想の世界でしか出来なかったことを自分がこれから実現し、彼が描いた様々な世界を実際に自分が体験するのだということを。まだ旅行が始まったばかりの段階で、この地図を見たことは幸先の良いスタートになりました(グッドマン氏)

・フランスを後にしたネリー。その後、イタリアから船で地中海を渡りスエズ運河を通過。インド洋に出た。
・その頃、ライバルのエリザベスはというと、まだ太平洋の上。ようやく最初の国に辿り着こうとしていた。

<エリザベス おとぎ話の国>
・ニューヨークを出て24日目。太平洋の先に見えた光景をエリザベスはこう記している。

頂はただひとつ悠然とそびえ立ち、山裾へ美しい線を描いている。朝日の中で薄紅色に染まるこの山を、私は決して忘れないだろう(エリザベスの旅行記より)

・山の名は富士山、エリザベスが初めて訪れた国は日本だった。当時の日本は明治22年、急速に欧米の技術や文化を取り入れていた新興国だった。今や世界遺産となった富岡製糸場では生糸が作られ、鹿鳴館では華麗なパーティーが開かれていた時代だ。
・エリザベスの船は横浜に停泊し、36時間後に出航する予定。この間、未知なる国・日本の取材に飛び出した。当時、横浜を撮影し色を塗った貴重な写真が残されている。花屋、八百屋、魚屋さん。町にはまだ江戸時代の名残が残っていた。彼女は呉服屋を訪ねた。

織り糸は雪のように白く輝き、折り重ねられた布地は見る角度によって様々な色に変わった(エリザベスの旅行記より)

・さらに耳寄りな情報が飛び込んできた。「横浜の隣、首都の東京に日本を治めていた将軍のグレートなレガシー(遺産)がある」というのだ。飛び乗ったのは、ちょっとかわいい蒸気機関車、全線開通したばかりの東海道線。そして東京の人が教えてくれた将軍ゆかりの場所とは増上寺だった。
・エリザベスは境内の石段を上り、その先にあった徳川2代将軍・秀忠の壮麗な霊廟を訪れた。台徳院殿霊廟は1945年の空襲で焼失したため、現在は見ることができない。127年前、彼女が目にした霊廟とはどのようなものだったのか。明治時代、一流の職人たちが手がけイギリスの博覧会に出品された霊廟の精巧な模型が残されている。

中に入ると周りの壁は、紫がかかった赤に塗られていた。過ぎ去った長い歳月にも色は少しも失われていない。天井は見事な彫刻で飾られている。漆と金で描かれた数え切れないほどの龍や鳥、蓮や菊の花々が複雑にからみあっていた。その部屋は、とてつもなく完璧で大きな宝石箱のようだった(エリザベスの旅行記より)

・エリザベスは日本で得た感動を「おとぎ話の国」と表現している。

今まで足を踏み入れたことのない世界の扉が開かれたような気がしたのでしょう。それは彼女の知っていた、どの世界よりも素晴らしくて、まるで魔法の国。神秘的な場所にいるような気持ちになったのです。もしこの先の旅で素晴らしい経験がなかったとしても、日本を訪れる機会に恵まれただけで旅に出た価値があったと彼女は感じました(前出のグッドマン氏)

・思えば何が何だか分からないまま始まったエリザベスの世界一周への挑戦。しかし初めての国・日本で彼女は旅をする意味を見つけることができた。もっと世界を見てみたい。記者魂に火がついたエリザベス。日本を出た後、香港、シンガポールに向かった。
・一方、東回りのネリーも時を同じくしてアジアの海へ。ちょうど地球を半周した辺り、2人のルートが重なっていた。

(2016/11/5視聴・2016/11/5記)

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