【アナザーストーリーズ 運命の分岐点】
「アメリカ同時多発テロ~ホワイトハウス 知られざる戦い~」
(NHK・BSプレミアム・2016/9/7放送)
※公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/anotherstories/
<感想>
まず、15年前のアメリカ同時多発テロ事件で亡くなられた3000名近くの方に心から哀悼の意を表したいと思います。彼ら彼女らは全く罪のない人々であり、いかなる理由があってもテロは絶対に許してはいけないというのが、私の変わらないスタンスです。
そのうえでこの事件のときのことを考えるとき、その前にアメリカが引き起こした湾岸戦争のことを思い出します。番組でも取り上げられていましたが、そのときの大統領はジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ。9・11のときのジョージ・ウォーカー・ブッシュの父親です。中東で繰り返された殺戮が憎悪の連鎖を生み、テロの温床となったことは紛れも無い事実です。
そしてこのテロ事件の後、息子ブッシュはヒステリックで凄惨な報復戦争を引き起こしました。それがさらに憎悪を生み、未だにテロは世界から無くなりません。
この負の連鎖を断ち切るためにはどうすればいいのか。その答えを導き出し実行できる人がいたら、ノーベル平和賞ものだと言ってもいいほど複雑で困難な状況になってしまっています。しかしそれでも、これ以上悪化させてはならない。人間の「良心」は「悪意」を上回ることを信じたい。決して諦めたくない、そう思います。
<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>
・2001年9月11日。あの日、ニューヨークはいつもと変わらぬ朝を迎えた。ワールドトレードセンターは、アメリカの繁栄を誇るかのようにそびえ立っていた。しかし…。アメリカ同時多発テロ事件。約3000人が命を奪われた。
・このときテロリストたちが狙った重大な標的がもう一つあった。それはアメリカ大統領官邸ホワイトハウスだった。民間人を乗せた飛行機がハイジャックされワシントンへ、ホワイトハウスは大混乱に陥った。逃げ惑う人々。
・しかもこの日、最高責任者の第43代大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュは不在。それはまさにアメリカ最大の危機。ホワイトハウス秘密の地下室。政府の中枢はギリギリの決断を迫られていた。
・そのとき、人知れず戦いを続けた者たちがいた。ホワイトハウスに勤める一般の職員たち。危険を顧みずホワイトハウスに戻った男がいた。そしてみんなの命を救おうと力を尽くした男がいた。
<視点1 ホワイトハウスの番人 ゲイリー・ウォルターズ>
・様々な行政施設が集まるアメリカの首都ワシントンD.C.。大統領の館ホワイトハウスは、アメリカの自由を体現する場所だ。柵があるぐらいで高い塀もない。「人民の家」と呼ばれる。
・そこにあのテロを生き延びた男が久しぶりに訪れた。元執事長のゲイリー・ウォルターズ、ホワイトハウスに30年以上勤めてきた。
ホワイトハウスはアメリカの遺産であり、歴史そのものなんです(ウォルターズ)
・建物は地上4階、地下2階。全部で132の部屋がある。ウエストウィングは大統領が仕事をする官邸で、執務室はここにある。イーストウィングは主に大統領夫人が公務をする場所。大統領一家のための映画館もある。
・そして真ん中は大統領の公邸だ。3~4階が大統領一家の住まい。2階には来賓客をもてなす応接間や食堂がある。そして1階がウォルターズたち職員の主な仕事場だ。その数およそ90人。料理人や花屋、大工など役割は様々。
・そんな彼らを指揮していたのが執事長のウォルターズ。晩餐会の準備から大統領一家の身の回りの世話まで、あらゆる仕事に采配を振るった。ホワイトハウスに勤めて実に37年、数々の歴史的瞬間に立ち会ってきたウォルターズ。政権交代の度に職員が替わるホワイトハウスにあって、歴代6人の大統領に仕えた異例の存在だ。
・その中でも最大の出来事が、あのテロだったという。
内臓がひっくり返るような衝撃でした。とにかく悲惨でした(同上)
・あの日、ホワイトハウスで何があったのか。人々は様々な場所でテロと向き合っていた。官邸では政治家が、そして軍人が。さらに一般の職員たち。その激動の一日を関係者の証言をもとに紐解いていく。
・まずはテロ発生からホワイトハウスがその危機に気づくまでの時間。執事長のウォルターズは、いち早くその危機を察知した人物。しかし逃げずに職場に踏みとどまることを選ぶ。
【9月11日午前6時30分(テロ発生2時間前)】
・ウォルターズがホワイトハウスに出勤したのは朝6時半。その日はホワイトハウスにとって特別な日だった。
これはあまり知られていないのですが、その日の午後は野外食事会が行われる予定でした。連邦議会の全ての議員が参加するイベントです(同上)
・野外食事会とはホワイトハウスの庭で行われる毎年恒例のイベント。与野党の議員とその家族を招き、料理でもてなす。主催者は就任したばかりのブッシュ大統領、議会との交流を深める大事な行事だった。
2000人以上が参加する大がかりなものでした。わざわざ大統領の地元テキサスからバーベキューの業者も呼んでいたほどです(同上)
・この朝、ブッシュ大統領は1200km離れたフロリダにいた。その頃、ちょうど日課のジョギング中。ホワイトハウスには午後戻ることになっていた。
【9月11日午前7時35分(テロ発生1時間前)】
・ワシントンの空港の監視カメラにこんな映像が残されている。淡々と手荷物検査を受ける男たち。あのテロを引き起こしたハイジャック犯である。同じ頃、ボストンの空港にも。彼らは数人ずつに分かれ、4機の航空機に乗り込んだ。
※7:59 AA11便 ボストン発LA行
※8:14 UA175便 ボストン発LA行
※8:20 AA77便 ボストン発LA行
※8:42 UA93便 NY発サンフランシスコ行
・7時59分発の便を皮切りにテロリストを乗せ、4機は離陸した。
・ウォルターズは食事会の準備に追われる中、大統領夫人のローラと、きたる行事の打ち合わせをしていた。
私はローラ夫人とクリスマスの飾りつけの相談をしていました(同上)
・「今年はどんな飾りつけにしようか?」だが、そのとき事態は始まっていた。
航空管制官:アメリカン航空11便、呼んだか?
ハイジャック犯:我々は複数の航空機を乗っ取った。おとなしくしていれば問題ない。空港に戻る。もし少しでも変な動きをすれば、お前や航空機は無事ではいられない。
・そして航空管制官から軍に衝撃の情報が伝えられた。
航空管制官:航空機がハイジャックされ、ニューヨークに向かっている。F-16戦闘機に緊急発進を要請する。
アメリカ空軍軍曹:これは実戦か?それとも訓練か?
航空管制官:いや、これは訓練ではない。
【9月11日午前8時46分】
・ワールドトレードセンターに1機目が突入。
・そのときホワイトハウスのウォルターズは、公務で出かけるローラ夫人を見送るところだった。
警備の担当がこう言ったんです。「ニューヨークで飛行機がビルに衝突する大きな事故があったようです」とね。こんないい天気なのに、なぜそんな事故が起きるのか。航空管制システムはどうかしてしまったのかと思いました(ウォルターズ)
・不思議に思ったウォルターズはテレビを見ようとオフィスへと戻った。ウエストウィングにいた副大統領ディック・チェイニーは、机に足を放り出し呆然と映像を見つめていた。
【9月11日午前9時3分】
・ワールドトレードセンターに2機目が突入。
・この映像を執事長のウォルターズは自分の部屋で見た。
みぞおちにパンチを食らったようでした。航空システムの問題でも偶然の事故でもないと初めて悟ったんです。アメリカは狙われているとね(同上)
【9月11日午前9時37分】
・30分後、ホワイトハウスのウォルターズは更なる危機に気づいた。
玄関を出ると、ちょうど南西の方角から低い音がドンと聞こえました。見上げると大きな黒い煙と炎が噴き上がっていたんです(同上)
・ウォルターズが見た煙はホワイトハウスから3kmの距離。煙が上がったのは信じられない場所だった。3機目が国防総省(ペンタゴン)に突入。世界一の実力を誇るアメリカ軍の中枢も攻撃された。
被害の状況がよく分からないので、私は余計心配になってみんなに大声で「避難しろ!」と叫びました。これはニューヨークだけじゃない。次のターゲットはホワイトハウス、さらに議事堂もやられるとね(同上)
・「次はここが狙われる」。ウォルターズの直感だった。
・だがホワイトハウスで指揮を執るべきブッシュは、まだ遠く離れたフロリダ、小学校の授業を視察中だった。テロの第一報を聞いたときの表情が映像に残されている。7分間、無言だった。
・ホワイトハウスは騒然としていた。チェイニーたち政府の中枢は、すぐさまイーストウィングの緊急用地下室に避難。だが本館には一般の職員たちが大勢働いていた。まだ何が起きているのか誰にも分からない。だが、ウォルターズは全員に避難を指示する。
携帯電話でオフィスに連絡し、ホワイトハウスの最上階から下までくまなく部屋を回り「全員避難しろ」と指示しました(同上)
・このときホワイトハウスの意外な弱点があらわになった。その弱点に直面したのがメイド長のクリスティン・リメリック。23人の部下を安全に避難させる責任があったのだが…。
実はあのときホワイトハウスには職員の避難計画が全くなかったのです。通信手段はひどいもので、無線を持っていた人はごく一部でした。連絡を取るために出来るだけのことをしましたが、自分の無力さを思い知りました。悲しく、とても怖かったです(リメリック)
・この混乱に全く気づいていない男が1階のキッチンにいた。パティシエのローランド・メスニエ。そこにはテレビがなく、まだテロすら知らなかった。
スタッフから避難してと言われるまで気づきませんでした。冗談を言っているかと思い「やめろよ、忙しいんだ」と言ったら、私の白衣を握りしめて「ふざけないで早く逃げて!」と追い出されました。でも他の部下は2階の別のキッチンにいたんです。そこは隔離されたような場所なので、捜すのが大変なんです。心配でした。何とか助けないと(メスニエ)
・散り散りに逃げることになったメスニエ。みんなの目印になるようコック帽を被り、ホワイトハウスの前の通りに立ち続けた。
・職員が一斉に避難する中、執事長のウォルターズはホワイトハウス南のゲートに一人で向かっていた。テロの危険に気づかずにいる職員以外の人々を守るためだった。
食事会の準備をする外部のスタッフがゲートに到着し始めていたんです。ホワイトハウスにもうこれ以上、人が入るのを止めなければなりませんでした。「止まれ!中に入っちゃいけない」と言い続けました(ウォルターズ)
・切羽詰った状況で、なぜそれほど冷静な判断ができたのか。実は執事になる前、彼はホワイトハウスを警備するシークレットサービスだった。危機管理のプロならではの勘が働いていた。ウォルターズは独自にこんな指示を出している。
警官はみんなを北の公園に誘導していましたが「北に行っちゃダメだ」と言いました。飛行機が突っ込むなら南からだと思ったんです(同上)
・理由はホワイトハウスの構造。北側は2階分しか見えない。周囲に建物も多く、飛行機が突入しにくい。一方、南側は開けているうえ、建物が3階分見える。テロリストはこちらから突っ込むはずだと考えたのだ。
飛行機が突っ込めばその残骸は北側に飛んで、たくさんの人々が犠牲になります。だから「北に行くな、南に逃げろ」と言い続けました(同上)
・「ここが狙われる」というウォルターズの勘は当たっていた。
航空管制官:ユナイテッド航空93便はどこだ?
93便:緊急事態!緊急事態!ここから出ていけ!
・別の飛行機がハイジャックされ、ホワイトハウスに向かっていた。最大の危機が迫ろうとしていた。
<視点2 地下室の最終指令 ロバート・ダーリング>
・ウォルターズが避難を呼びかけていた頃、ホワイトハウスの地下に向かう軍人がいた。向かったのは政治家たちが集まる秘密の地下室。
・今回、その内部を撮影した300枚以上の写真を入手した。写っているのは、未曽有のテロを前に対策に追われるアメリカ政府の中枢メンバー。
・ここからの20分、それはあの一日の中で最も緊迫した時間となる。その地下室に居合わせた軍人、苦悩する政府の赤裸々な姿を目撃することになる。
・地下室に入ったのは元海兵隊中佐のロバート・ダーリング。今回、日本の取材に初めて応じた。
私が入ったのは国家に危機が及んだとき、大統領が指揮を執る緊急シェルターです。しかしそれがどこにあるのか正確には明らかにできない国家機密の部屋です(ダーリング)
・そこで彼は何を見たのか。当時ダーリングは、大統領の移動手段を確保する連絡係。ブッシュの動向を確認するため、その地下室に向かっていた。
・地下シェルターは第二次大戦中、核攻撃にも耐えられるよう設計された部屋だ。そこにいたのは、大統領の留守を預かるチェイニー副大統領やブッシュの側近コンドリーザ・ライス補佐官など政権の中枢にいる政治家たち。ダーリングは彼らの議論を間近で目撃することになった。
みんなバタバタとしていました。パソコンや机がずらりと並び、次々にかかる電話に対応していました(同上)
・情報収集に追われるスタッフたち。その中でフロリダのブッシュ大統領と電話するチェイニーは、かなりいらついた様子だったという。
この地下室は最新の通信機能が備わっていなかったので、電話がしょっちゅう切れていたのです。かなり前につくられた部屋なのでアナログな通信手段しかありませんでした。大統領も副大統領もイライラするばかりでした(同上)
【9月11日午前9時52分】
・一本の電話が鳴った。取ったのは、たまたまそばにいたダーリング。
ハイジャック機をピッツバーグ上空で発見。ワシントンに向かっているというのです。大変なショックでした。大型のトマホーク巡航ミサイルが狙っているようなものです(同上)
・それはサンフランシスコ行のユナイテッド航空93便。乗員乗客40人を乗せたまま、進路を大きく変えワシントンに向かっていた。計算するとあと20分で到達する。
受話器を塞いで振り向くと、副大統領がそばにいました。すると副大統領はペンタゴンに電話をかけました。国防長官を捜していたんです(同上)
・この事態に軍事力を行使できるのは、ブッシュ大統領と国防長官ドナルド・ラムズフェルドの2人だけ。大統領がフロリダを離陸し電話が繋がりにくいため、チェイニーは国防長官に判断を仰ごうとしたのだ。
でも国防長官は司令室にいませんでした。外に出ていて被害に遭った負傷者たちの救助を手伝っていたんです(同上)
・ペンタゴンでは救助活動の真っ最中。死者は100人を超え、多数の負傷者が出ていた。本来、司令室で指揮を執るべき国防長官までが持ち場を離れるほど、現場は混乱していた。
・軍への指揮権を持たないチェイニーたちは焦り始めた。予想される残り時間は18分。ホワイトハウスの周辺には緊急の警備線が敷かれた。ホワイトハウスに誰一人近づかないよう厳重警戒。
・メイド長のリメリックは怯えていた。
ちょうどこのゲートから出たところでした。突然、爆発音を聞いたんです。後ろを振り返ることもできず、そばにいた部下に「走って!」と叫びました(リメリック)
・周囲にはスクランブル発進した戦闘機の爆音が。その度、人々は爆発かと怯えた。
カオスでした。みんな叫び合っていましたが、どうしたらいいか分からない。ここでも街のあちこちでも爆発音が聞こえてきて、もう全てが大混乱でした(同上)
【9月11日午前9時58分】
・到達予想時刻まであと15分を切った。ハイジャックされた93便には罪のない多くの乗客が乗っている。どう対処すべきか。ギリギリの状況の中でチェイニーは重い決断を下した。
戦闘機が93便を追跡しているという連絡が入ると、彼は迷わず命令しました。「撃墜しろ」と(ダーリング)
・アメリカ史上初めて民間人を乗せたまま飛行機を撃墜する命令だった。
みんな静まり返りました。どうなってしまうのか、固唾を飲んで見守りました(同上)
・ハイジャックの情報に誤りがあれば、致命的な非難は免れない。それでもチェイニーは決断を下した。
・そんなとき、空の上では予想もしないことが起きていた。
航空管制官:93便が翼をゆすって飛行をしている。どうなっているのか?
【9月11日午前10時3分】
・93便が左右に揺れ、進路を目まぐるしく変えていたのだ。そしてその3分後、ピッツバーグの平原に煙が上がっていた。93便が墜落したのだ。
・ニューヨークの事態を知った乗客たちが、さらなるテロを防ごうと犯人と格闘した結果だった。乗員乗客40名全員が死亡。命と引き換えにホワイトハウスは守られた。
誰もが言葉を失い、沈黙しました。テロは防がれましたが、犠牲になった人たちのことを思うと、悲しみで複雑な思いでした。副大統領も顔が真っ青でした(ダーリング)
・その後もテロの情報は続々と入ってきた。敵がどこにいるのか分からない。
例えば別の飛行機がホワイトハウスに近づいているとの情報がありました。また危機だということで、急いで対応できる戦闘機を探しました。でもそれは誤報で、ドクターヘリだと分かりました。みんなとても混乱していたんです(同上)
・政府高官たちの顔には疲労の色が濃くなっていく。そのとき、人知れず動いていたのはウォルターズだった。
みんながずっと食事をしていないことに気づきました。朝食すら摂っていない人もいたでしょう。だからあの男に何とか戻ってほしいと連絡しました(ウォルターズ)
・あの男とはホワイトハウスの料理長ウォルター・シャイブ。料理の腕はもちろん、スタッフをまとめる統率力でも高い評価を受けていた。この日もスタッフを連れて、いち早くホテルに避難していたシャイブにウォルターズは電話をかけた。
戻ってきてくれ(ウォルターズ)
戻る?どこへ?どうやって戻ればいいんだ?(シャイブ)
・シャイブがいたホテルとホワイトハウスの距離は約2km。既に警備線は厳重で殺気立っていた。その中をホワイトハウスに近づけば、射殺される恐れすらあった。彼は去年、事故で他界。だが妻のジーンがあの日のことをはっきり覚えている。
街じゅうで自動車の爆弾テロがあるという噂が流れ、みんなが怯えていました。次の攻撃があると思うと心配で、夫にホワイトハウス周辺から避難してほしいと願っていました(ジーン)
・それでもシャイブはホワイトハウスに向かって歩き出した。
あたりはショットガンや
ライフルを抱えた
警官ばかりだった
私は飛行機が
降ってくることも
心配だったが
過敏になった彼らに
撃たれることも
同じくらい恐れていた
(「大統領の料理人」ウォルター・シャイブ著より)
・命の危険を冒して一人ホワイトハウスに戻ったシャイブ。
夫はプロ意識の高い人でした。仕事場であるホワイトハウスに戻りたかったのでしょう。素晴らしいと思います。自分を優先するのではなく、プロとして何が一番大切なのかを見極めたんです(同上)
・シャイブは、たった一人で料理を作り始めた。
シャイブは言いました。「食事会で準備していた肉を出してもいいかい?下ごしらえ済みだし、後は焼くだけで手っ取り早いよ。それなら大勢の人に振る舞える」とね。彼は結局、650人分の食事をこしらえました(ウォルターズ)
・シャイブが作った料理は、地下室の政治家たちやシークレットサービス、さらに周囲で救助にあたっていた消防士にも届けられたという。
安全な場所にいた私たちを、安全が確保されていない場所にいたスタッフがずっとサポートしてくれました。私にとって彼らは英雄です。私が学んだ最大の教訓は、どんなに国が準備しようとも危機のときに大きなことを成し遂げるのは普通の人たちだということです。私は決して忘れません(ダーリング)
・だが、まだ危機は続く。ホワイトハウスはその機能を取り戻せずにいた。
<視点3 大統領の決断 ジョージ・ウォーカー・ブッシュ>
・ハイジャック機による攻撃が防がれた頃、遠く離れた上空でその男は何を思っていただろうか。アメリカの最高権力者・第43代大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュ。
・この未曽有の危機にも関わらず、いるべき場所にいられなかった男。あの一日、ブッシュは何を考えたのか。苦悩の末に下した決断とは。
・ブッシュが大統領に就任したのは、テロの8か月前。父親に続いての大統領就任だった。
・皮肉にも、あのテロの遠因となる戦争を始めたのは父親(第41代大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ)。中東を舞台にした湾岸戦争で、多くの市民が巻き添えとなった。そんなアメリカに敵意を抱いたイスラム過激派が報復としてテロを企てるに至った。
・アメリカ史上でも稀な親子2代の大統領。その政治手腕に不安を持つ人は多く、支持率は当初から低迷した。が、その人柄はホワイトハウスの職員たちから愛されたという。
ブッシュ大統領はとても気さくな方で、いつもたくさんの友人をホワイトハウスに招いていました。愛情深くて、愛犬が死んだときは大変でした。私と2人のシークレットサービスが立ち会いましたが、大統領は愛犬のそばに横たわり、頭をずっと撫でていました(ウォルターズ)
・そんなブッシュが力を入れていたのが初等教育。学力低下が叫ばれるアメリカで、子どもにしっかりと読み書きを教えたい。そう願って、多くの学校を自ら視察する熱の入れようだった。
・だからこそあの日も、フロリダで小学校の授業に参加していた。そんなブッシュを突然襲ったテロの知らせ。後に記した回顧録に当時の心境をこう綴っている。
私の意識は教室をはるかに離れて駆けめぐっていた。
【9月11日午前9時40分(テロ発生から1時間)】
・ブッシュがフロリダを離れたのは、これは事故ではなくアメリカへの攻撃だと分かり始めた頃だった。
・だがブッシュを乗せた飛行機は、ワシントンとは全く違う方向へと向かう。ブッシュはホワイトハウスに戻りたかったが「テロの標的になっているワシントンに来るのは危険すぎる」とチェイニーたちが強く反対した。
テロリストに脅されて逃げるのはまっぴらだと私はいった。テロリストに追われて逃げる自分の姿を想像したくなかった。(「決断のとき」ジョージ・ウォーカー・ブッシュ著より)
・結局ブッシュは進言を受け入れる。
【9月11日午前9時59分】
・ブッシュが離陸して19分後、ワールドトレードセンター南棟崩壊。その惨状をブッシュは機内のテレビで見つめるしかなかった。
・さらにホワイトハウスに危機を知らせる電話が入った。電話を取ったのは、またしてもダーリング。
信頼する情報筋から「次のターゲットはフロリダのエンジェルだ」という連絡が来ました。「エンジェル」とは大統領専用機エアフォース・ワンのコードネームです(ダーリング)
・次の標的は大統領専用機。つまりブッシュ本人だという情報だった。
私はライス補佐官にその情報を伝えました。すると彼女は「エンジェルって誰よ?」って言ったんです(同上)
・「ブッシュ政権最高の頭脳」と呼ばれたライス。当然知っているべきコードネームを忘れるほど混乱していた。
ワシントンD.C.に戻るべきだと強く感じていた。ホワイトハウスにいて、対応の指揮をとりたい。
・しかしチェイニーたちとの協議で、そのプランは再び退けられた。その頃、撮影された機内の映像が残っている。窓の外には護衛の戦闘機がぴたりと付いている。自分は軍に守られているのに、国民を守る指揮すら執れないジレンマ。
【9月11日午前10時28分】
・ワールドトレードセンター北棟、崩壊。そのときのブッシュはこう綴っている。
とぎれとぎれの映像を見ているうちに、アメリカ国民がどんな恐ろしい光景を眺めているかがわかりはじめた。彼らの苦しみと絶望がまざまざと感じられた。私は世界一強大な国の大統領なのに、彼らを助けられない無力さを味わっていた。
・大統領が絶望に暮れていた頃、ホワイトハウスの庭で動き始めた男がいる。執事長のウォルターズは、あることを信じていた。
このような危機に直面すれば、大統領は必ずホワイトハウスに戻ってくると私は信じていました。ホワイトハウスの執務室から国民に向けて演説するはずだと(ウォルターズ)
・危機にあたっては直接、国民に話しかけるのが通例。だが大きな壁があった。通常、大統領は空軍基地に降り、車かヘリコプターでホワイトハウスに向かう。緊急事態ではヘリを使う可能性が高い。
・だがヘリの着陸に使う南の庭には、このとき野外食事会のテーブルが大量に放置されていた。既に殆どの職員が避難し、ホワイトハウスは閑散。残っていたのはウォルターズと数名のスタッフだけだった。ウォルターズは決意した。
ヘリが来たときに備え、テーブルを全て撤去しなければと思いました。手作業で運びました。1台の重さは160キロもあります。かなり大変でしたが、それでもやらねばならないと思ったんです(同上)
・いつ攻撃を受けるか分からない。その中でウォルターズたちは160キロのテーブルを一つ一つ片付けていった。
もし飛行機が襲ってきたらどうしようと聞かれたのですが、逃げる所なんてどこにもありません。私は「噴水にダイブしよう。水中なら少しはましかもしれないよ」と言いました。なんとかみんなの緊張をほぐしたかったんです。ただ大統領への務めを果たしたい、それだけでした(同上)
【9月11日午後2時55分(テロ発生から6時間)】
・ブッシュは給油のためにネブラスカ州の空軍基地にいた。そこで重大な決断を下した。いかなる危険があろうとも、ホワイトハウスに戻る。
信じられませんでした。副大統領や補佐官もみんなワシントンに戻らないよう説得しましたが、大統領はカメラをまっすぐ見据え、こう言ったのです。「今日の夕方、必ず戻る」と(ダーリング)
今回は私も折れなかった。国民に向けて話をしようと決意していた。アメリカ国民には、首都にいる大統領の姿を見せる必要がある。
・間もなくウォルターズにある指示が下った。
ホワイトハウスに戻るからテーブルを片付けてくれるかと聞かれたので「もう片付けてあります。安心して着陸してください」と答えました。とても誇らしい思いでした(ウォルターズ)
・ウォルターズたちは5時間かけ、着陸場所を完璧に整えていた。
【9月11日午後6時55分(テロ発生から10時間)】
・ブッシュ大統領は、ようやくホワイトハウスに戻ってきた。ブッシュが歩くその奥にウォルターズたちが命を懸けて片付けたテーブルが積まれていた。
【9月11日午後8時30分】
・ブッシュは国民に語りかけた。
今日、私たちの生活が、そして自由が、テロリストの攻撃を受けました。しかしその攻撃はビルを揺るがすことはできますが、アメリカの根幹に触れることはできません。今こそ全ての国民が正義と平和を求めて団結するときです。
・アメリカがようやくその機能を取り戻した瞬間だった。
・このテロで失われた命は2973。
※ワールドトレードセンター:2602人
※ハイジャック機の乗員乗客:246人
※ペンタゴン:125人
・そしてこの日からテロとの長い戦いが世界で始まることになった。
・あの日から15年。ニューヨークのテロの現場は、犠牲者を追悼する記念公園となっている。捧げられる平和の祈り。だが世界は憎しみの連鎖を断ち切れずにいる。
・いつどこでテロが起こるか分からない時代。新たな対立が煽られ、世界から自由と寛容さが失われつつある。
・あのテロの後、ホワイトハウスでも安全のため一般見学を中止しようという動きがあった。それに真っ先に反対したのはウォルターズだった。
私は大統領に申し上げました。「国民が前に進むためにホワイトハウスは決して閉じてはいけません」とね。私たちの社会は開かれているべきです。たとえそこに新たなテロがやってくるとしてもです。戦いを終わらせるためには、これまでと違う何か特別なことをしなければならないのです(ウォルターズ)
・この戦いはどうすれば終わるのか。世界はその答えをまだ見つけていない。
(2016/9/16視聴・2016/9/16記)
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※公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/anotherstories/
<感想>
まず、15年前のアメリカ同時多発テロ事件で亡くなられた3000名近くの方に心から哀悼の意を表したいと思います。彼ら彼女らは全く罪のない人々であり、いかなる理由があってもテロは絶対に許してはいけないというのが、私の変わらないスタンスです。
そのうえでこの事件のときのことを考えるとき、その前にアメリカが引き起こした湾岸戦争のことを思い出します。番組でも取り上げられていましたが、そのときの大統領はジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ。9・11のときのジョージ・ウォーカー・ブッシュの父親です。中東で繰り返された殺戮が憎悪の連鎖を生み、テロの温床となったことは紛れも無い事実です。
そしてこのテロ事件の後、息子ブッシュはヒステリックで凄惨な報復戦争を引き起こしました。それがさらに憎悪を生み、未だにテロは世界から無くなりません。
この負の連鎖を断ち切るためにはどうすればいいのか。その答えを導き出し実行できる人がいたら、ノーベル平和賞ものだと言ってもいいほど複雑で困難な状況になってしまっています。しかしそれでも、これ以上悪化させてはならない。人間の「良心」は「悪意」を上回ることを信じたい。決して諦めたくない、そう思います。
<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>
・2001年9月11日。あの日、ニューヨークはいつもと変わらぬ朝を迎えた。ワールドトレードセンターは、アメリカの繁栄を誇るかのようにそびえ立っていた。しかし…。アメリカ同時多発テロ事件。約3000人が命を奪われた。
・このときテロリストたちが狙った重大な標的がもう一つあった。それはアメリカ大統領官邸ホワイトハウスだった。民間人を乗せた飛行機がハイジャックされワシントンへ、ホワイトハウスは大混乱に陥った。逃げ惑う人々。
・しかもこの日、最高責任者の第43代大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュは不在。それはまさにアメリカ最大の危機。ホワイトハウス秘密の地下室。政府の中枢はギリギリの決断を迫られていた。
・そのとき、人知れず戦いを続けた者たちがいた。ホワイトハウスに勤める一般の職員たち。危険を顧みずホワイトハウスに戻った男がいた。そしてみんなの命を救おうと力を尽くした男がいた。
<視点1 ホワイトハウスの番人 ゲイリー・ウォルターズ>
・様々な行政施設が集まるアメリカの首都ワシントンD.C.。大統領の館ホワイトハウスは、アメリカの自由を体現する場所だ。柵があるぐらいで高い塀もない。「人民の家」と呼ばれる。
・そこにあのテロを生き延びた男が久しぶりに訪れた。元執事長のゲイリー・ウォルターズ、ホワイトハウスに30年以上勤めてきた。
ホワイトハウスはアメリカの遺産であり、歴史そのものなんです(ウォルターズ)
・建物は地上4階、地下2階。全部で132の部屋がある。ウエストウィングは大統領が仕事をする官邸で、執務室はここにある。イーストウィングは主に大統領夫人が公務をする場所。大統領一家のための映画館もある。
・そして真ん中は大統領の公邸だ。3~4階が大統領一家の住まい。2階には来賓客をもてなす応接間や食堂がある。そして1階がウォルターズたち職員の主な仕事場だ。その数およそ90人。料理人や花屋、大工など役割は様々。
・そんな彼らを指揮していたのが執事長のウォルターズ。晩餐会の準備から大統領一家の身の回りの世話まで、あらゆる仕事に采配を振るった。ホワイトハウスに勤めて実に37年、数々の歴史的瞬間に立ち会ってきたウォルターズ。政権交代の度に職員が替わるホワイトハウスにあって、歴代6人の大統領に仕えた異例の存在だ。
・その中でも最大の出来事が、あのテロだったという。
内臓がひっくり返るような衝撃でした。とにかく悲惨でした(同上)
・あの日、ホワイトハウスで何があったのか。人々は様々な場所でテロと向き合っていた。官邸では政治家が、そして軍人が。さらに一般の職員たち。その激動の一日を関係者の証言をもとに紐解いていく。
・まずはテロ発生からホワイトハウスがその危機に気づくまでの時間。執事長のウォルターズは、いち早くその危機を察知した人物。しかし逃げずに職場に踏みとどまることを選ぶ。
【9月11日午前6時30分(テロ発生2時間前)】
・ウォルターズがホワイトハウスに出勤したのは朝6時半。その日はホワイトハウスにとって特別な日だった。
これはあまり知られていないのですが、その日の午後は野外食事会が行われる予定でした。連邦議会の全ての議員が参加するイベントです(同上)
・野外食事会とはホワイトハウスの庭で行われる毎年恒例のイベント。与野党の議員とその家族を招き、料理でもてなす。主催者は就任したばかりのブッシュ大統領、議会との交流を深める大事な行事だった。
2000人以上が参加する大がかりなものでした。わざわざ大統領の地元テキサスからバーベキューの業者も呼んでいたほどです(同上)
・この朝、ブッシュ大統領は1200km離れたフロリダにいた。その頃、ちょうど日課のジョギング中。ホワイトハウスには午後戻ることになっていた。
【9月11日午前7時35分(テロ発生1時間前)】
・ワシントンの空港の監視カメラにこんな映像が残されている。淡々と手荷物検査を受ける男たち。あのテロを引き起こしたハイジャック犯である。同じ頃、ボストンの空港にも。彼らは数人ずつに分かれ、4機の航空機に乗り込んだ。
※7:59 AA11便 ボストン発LA行
※8:14 UA175便 ボストン発LA行
※8:20 AA77便 ボストン発LA行
※8:42 UA93便 NY発サンフランシスコ行
・7時59分発の便を皮切りにテロリストを乗せ、4機は離陸した。
・ウォルターズは食事会の準備に追われる中、大統領夫人のローラと、きたる行事の打ち合わせをしていた。
私はローラ夫人とクリスマスの飾りつけの相談をしていました(同上)
・「今年はどんな飾りつけにしようか?」だが、そのとき事態は始まっていた。
航空管制官:アメリカン航空11便、呼んだか?
ハイジャック犯:我々は複数の航空機を乗っ取った。おとなしくしていれば問題ない。空港に戻る。もし少しでも変な動きをすれば、お前や航空機は無事ではいられない。
・そして航空管制官から軍に衝撃の情報が伝えられた。
航空管制官:航空機がハイジャックされ、ニューヨークに向かっている。F-16戦闘機に緊急発進を要請する。
アメリカ空軍軍曹:これは実戦か?それとも訓練か?
航空管制官:いや、これは訓練ではない。
【9月11日午前8時46分】
・ワールドトレードセンターに1機目が突入。
・そのときホワイトハウスのウォルターズは、公務で出かけるローラ夫人を見送るところだった。
警備の担当がこう言ったんです。「ニューヨークで飛行機がビルに衝突する大きな事故があったようです」とね。こんないい天気なのに、なぜそんな事故が起きるのか。航空管制システムはどうかしてしまったのかと思いました(ウォルターズ)
・不思議に思ったウォルターズはテレビを見ようとオフィスへと戻った。ウエストウィングにいた副大統領ディック・チェイニーは、机に足を放り出し呆然と映像を見つめていた。
【9月11日午前9時3分】
・ワールドトレードセンターに2機目が突入。
・この映像を執事長のウォルターズは自分の部屋で見た。
みぞおちにパンチを食らったようでした。航空システムの問題でも偶然の事故でもないと初めて悟ったんです。アメリカは狙われているとね(同上)
【9月11日午前9時37分】
・30分後、ホワイトハウスのウォルターズは更なる危機に気づいた。
玄関を出ると、ちょうど南西の方角から低い音がドンと聞こえました。見上げると大きな黒い煙と炎が噴き上がっていたんです(同上)
・ウォルターズが見た煙はホワイトハウスから3kmの距離。煙が上がったのは信じられない場所だった。3機目が国防総省(ペンタゴン)に突入。世界一の実力を誇るアメリカ軍の中枢も攻撃された。
被害の状況がよく分からないので、私は余計心配になってみんなに大声で「避難しろ!」と叫びました。これはニューヨークだけじゃない。次のターゲットはホワイトハウス、さらに議事堂もやられるとね(同上)
・「次はここが狙われる」。ウォルターズの直感だった。
・だがホワイトハウスで指揮を執るべきブッシュは、まだ遠く離れたフロリダ、小学校の授業を視察中だった。テロの第一報を聞いたときの表情が映像に残されている。7分間、無言だった。
・ホワイトハウスは騒然としていた。チェイニーたち政府の中枢は、すぐさまイーストウィングの緊急用地下室に避難。だが本館には一般の職員たちが大勢働いていた。まだ何が起きているのか誰にも分からない。だが、ウォルターズは全員に避難を指示する。
携帯電話でオフィスに連絡し、ホワイトハウスの最上階から下までくまなく部屋を回り「全員避難しろ」と指示しました(同上)
・このときホワイトハウスの意外な弱点があらわになった。その弱点に直面したのがメイド長のクリスティン・リメリック。23人の部下を安全に避難させる責任があったのだが…。
実はあのときホワイトハウスには職員の避難計画が全くなかったのです。通信手段はひどいもので、無線を持っていた人はごく一部でした。連絡を取るために出来るだけのことをしましたが、自分の無力さを思い知りました。悲しく、とても怖かったです(リメリック)
・この混乱に全く気づいていない男が1階のキッチンにいた。パティシエのローランド・メスニエ。そこにはテレビがなく、まだテロすら知らなかった。
スタッフから避難してと言われるまで気づきませんでした。冗談を言っているかと思い「やめろよ、忙しいんだ」と言ったら、私の白衣を握りしめて「ふざけないで早く逃げて!」と追い出されました。でも他の部下は2階の別のキッチンにいたんです。そこは隔離されたような場所なので、捜すのが大変なんです。心配でした。何とか助けないと(メスニエ)
・散り散りに逃げることになったメスニエ。みんなの目印になるようコック帽を被り、ホワイトハウスの前の通りに立ち続けた。
・職員が一斉に避難する中、執事長のウォルターズはホワイトハウス南のゲートに一人で向かっていた。テロの危険に気づかずにいる職員以外の人々を守るためだった。
食事会の準備をする外部のスタッフがゲートに到着し始めていたんです。ホワイトハウスにもうこれ以上、人が入るのを止めなければなりませんでした。「止まれ!中に入っちゃいけない」と言い続けました(ウォルターズ)
・切羽詰った状況で、なぜそれほど冷静な判断ができたのか。実は執事になる前、彼はホワイトハウスを警備するシークレットサービスだった。危機管理のプロならではの勘が働いていた。ウォルターズは独自にこんな指示を出している。
警官はみんなを北の公園に誘導していましたが「北に行っちゃダメだ」と言いました。飛行機が突っ込むなら南からだと思ったんです(同上)
・理由はホワイトハウスの構造。北側は2階分しか見えない。周囲に建物も多く、飛行機が突入しにくい。一方、南側は開けているうえ、建物が3階分見える。テロリストはこちらから突っ込むはずだと考えたのだ。
飛行機が突っ込めばその残骸は北側に飛んで、たくさんの人々が犠牲になります。だから「北に行くな、南に逃げろ」と言い続けました(同上)
・「ここが狙われる」というウォルターズの勘は当たっていた。
航空管制官:ユナイテッド航空93便はどこだ?
93便:緊急事態!緊急事態!ここから出ていけ!
・別の飛行機がハイジャックされ、ホワイトハウスに向かっていた。最大の危機が迫ろうとしていた。
<視点2 地下室の最終指令 ロバート・ダーリング>
・ウォルターズが避難を呼びかけていた頃、ホワイトハウスの地下に向かう軍人がいた。向かったのは政治家たちが集まる秘密の地下室。
・今回、その内部を撮影した300枚以上の写真を入手した。写っているのは、未曽有のテロを前に対策に追われるアメリカ政府の中枢メンバー。
・ここからの20分、それはあの一日の中で最も緊迫した時間となる。その地下室に居合わせた軍人、苦悩する政府の赤裸々な姿を目撃することになる。
・地下室に入ったのは元海兵隊中佐のロバート・ダーリング。今回、日本の取材に初めて応じた。
私が入ったのは国家に危機が及んだとき、大統領が指揮を執る緊急シェルターです。しかしそれがどこにあるのか正確には明らかにできない国家機密の部屋です(ダーリング)
・そこで彼は何を見たのか。当時ダーリングは、大統領の移動手段を確保する連絡係。ブッシュの動向を確認するため、その地下室に向かっていた。
・地下シェルターは第二次大戦中、核攻撃にも耐えられるよう設計された部屋だ。そこにいたのは、大統領の留守を預かるチェイニー副大統領やブッシュの側近コンドリーザ・ライス補佐官など政権の中枢にいる政治家たち。ダーリングは彼らの議論を間近で目撃することになった。
みんなバタバタとしていました。パソコンや机がずらりと並び、次々にかかる電話に対応していました(同上)
・情報収集に追われるスタッフたち。その中でフロリダのブッシュ大統領と電話するチェイニーは、かなりいらついた様子だったという。
この地下室は最新の通信機能が備わっていなかったので、電話がしょっちゅう切れていたのです。かなり前につくられた部屋なのでアナログな通信手段しかありませんでした。大統領も副大統領もイライラするばかりでした(同上)
【9月11日午前9時52分】
・一本の電話が鳴った。取ったのは、たまたまそばにいたダーリング。
ハイジャック機をピッツバーグ上空で発見。ワシントンに向かっているというのです。大変なショックでした。大型のトマホーク巡航ミサイルが狙っているようなものです(同上)
・それはサンフランシスコ行のユナイテッド航空93便。乗員乗客40人を乗せたまま、進路を大きく変えワシントンに向かっていた。計算するとあと20分で到達する。
受話器を塞いで振り向くと、副大統領がそばにいました。すると副大統領はペンタゴンに電話をかけました。国防長官を捜していたんです(同上)
・この事態に軍事力を行使できるのは、ブッシュ大統領と国防長官ドナルド・ラムズフェルドの2人だけ。大統領がフロリダを離陸し電話が繋がりにくいため、チェイニーは国防長官に判断を仰ごうとしたのだ。
でも国防長官は司令室にいませんでした。外に出ていて被害に遭った負傷者たちの救助を手伝っていたんです(同上)
・ペンタゴンでは救助活動の真っ最中。死者は100人を超え、多数の負傷者が出ていた。本来、司令室で指揮を執るべき国防長官までが持ち場を離れるほど、現場は混乱していた。
・軍への指揮権を持たないチェイニーたちは焦り始めた。予想される残り時間は18分。ホワイトハウスの周辺には緊急の警備線が敷かれた。ホワイトハウスに誰一人近づかないよう厳重警戒。
・メイド長のリメリックは怯えていた。
ちょうどこのゲートから出たところでした。突然、爆発音を聞いたんです。後ろを振り返ることもできず、そばにいた部下に「走って!」と叫びました(リメリック)
・周囲にはスクランブル発進した戦闘機の爆音が。その度、人々は爆発かと怯えた。
カオスでした。みんな叫び合っていましたが、どうしたらいいか分からない。ここでも街のあちこちでも爆発音が聞こえてきて、もう全てが大混乱でした(同上)
【9月11日午前9時58分】
・到達予想時刻まであと15分を切った。ハイジャックされた93便には罪のない多くの乗客が乗っている。どう対処すべきか。ギリギリの状況の中でチェイニーは重い決断を下した。
戦闘機が93便を追跡しているという連絡が入ると、彼は迷わず命令しました。「撃墜しろ」と(ダーリング)
・アメリカ史上初めて民間人を乗せたまま飛行機を撃墜する命令だった。
みんな静まり返りました。どうなってしまうのか、固唾を飲んで見守りました(同上)
・ハイジャックの情報に誤りがあれば、致命的な非難は免れない。それでもチェイニーは決断を下した。
・そんなとき、空の上では予想もしないことが起きていた。
航空管制官:93便が翼をゆすって飛行をしている。どうなっているのか?
【9月11日午前10時3分】
・93便が左右に揺れ、進路を目まぐるしく変えていたのだ。そしてその3分後、ピッツバーグの平原に煙が上がっていた。93便が墜落したのだ。
・ニューヨークの事態を知った乗客たちが、さらなるテロを防ごうと犯人と格闘した結果だった。乗員乗客40名全員が死亡。命と引き換えにホワイトハウスは守られた。
誰もが言葉を失い、沈黙しました。テロは防がれましたが、犠牲になった人たちのことを思うと、悲しみで複雑な思いでした。副大統領も顔が真っ青でした(ダーリング)
・その後もテロの情報は続々と入ってきた。敵がどこにいるのか分からない。
例えば別の飛行機がホワイトハウスに近づいているとの情報がありました。また危機だということで、急いで対応できる戦闘機を探しました。でもそれは誤報で、ドクターヘリだと分かりました。みんなとても混乱していたんです(同上)
・政府高官たちの顔には疲労の色が濃くなっていく。そのとき、人知れず動いていたのはウォルターズだった。
みんながずっと食事をしていないことに気づきました。朝食すら摂っていない人もいたでしょう。だからあの男に何とか戻ってほしいと連絡しました(ウォルターズ)
・あの男とはホワイトハウスの料理長ウォルター・シャイブ。料理の腕はもちろん、スタッフをまとめる統率力でも高い評価を受けていた。この日もスタッフを連れて、いち早くホテルに避難していたシャイブにウォルターズは電話をかけた。
戻ってきてくれ(ウォルターズ)
戻る?どこへ?どうやって戻ればいいんだ?(シャイブ)
・シャイブがいたホテルとホワイトハウスの距離は約2km。既に警備線は厳重で殺気立っていた。その中をホワイトハウスに近づけば、射殺される恐れすらあった。彼は去年、事故で他界。だが妻のジーンがあの日のことをはっきり覚えている。
街じゅうで自動車の爆弾テロがあるという噂が流れ、みんなが怯えていました。次の攻撃があると思うと心配で、夫にホワイトハウス周辺から避難してほしいと願っていました(ジーン)
・それでもシャイブはホワイトハウスに向かって歩き出した。
あたりはショットガンや
ライフルを抱えた
警官ばかりだった
私は飛行機が
降ってくることも
心配だったが
過敏になった彼らに
撃たれることも
同じくらい恐れていた
(「大統領の料理人」ウォルター・シャイブ著より)
・命の危険を冒して一人ホワイトハウスに戻ったシャイブ。
夫はプロ意識の高い人でした。仕事場であるホワイトハウスに戻りたかったのでしょう。素晴らしいと思います。自分を優先するのではなく、プロとして何が一番大切なのかを見極めたんです(同上)
・シャイブは、たった一人で料理を作り始めた。
シャイブは言いました。「食事会で準備していた肉を出してもいいかい?下ごしらえ済みだし、後は焼くだけで手っ取り早いよ。それなら大勢の人に振る舞える」とね。彼は結局、650人分の食事をこしらえました(ウォルターズ)
・シャイブが作った料理は、地下室の政治家たちやシークレットサービス、さらに周囲で救助にあたっていた消防士にも届けられたという。
安全な場所にいた私たちを、安全が確保されていない場所にいたスタッフがずっとサポートしてくれました。私にとって彼らは英雄です。私が学んだ最大の教訓は、どんなに国が準備しようとも危機のときに大きなことを成し遂げるのは普通の人たちだということです。私は決して忘れません(ダーリング)
・だが、まだ危機は続く。ホワイトハウスはその機能を取り戻せずにいた。
<視点3 大統領の決断 ジョージ・ウォーカー・ブッシュ>
・ハイジャック機による攻撃が防がれた頃、遠く離れた上空でその男は何を思っていただろうか。アメリカの最高権力者・第43代大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュ。
・この未曽有の危機にも関わらず、いるべき場所にいられなかった男。あの一日、ブッシュは何を考えたのか。苦悩の末に下した決断とは。
・ブッシュが大統領に就任したのは、テロの8か月前。父親に続いての大統領就任だった。
・皮肉にも、あのテロの遠因となる戦争を始めたのは父親(第41代大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ)。中東を舞台にした湾岸戦争で、多くの市民が巻き添えとなった。そんなアメリカに敵意を抱いたイスラム過激派が報復としてテロを企てるに至った。
・アメリカ史上でも稀な親子2代の大統領。その政治手腕に不安を持つ人は多く、支持率は当初から低迷した。が、その人柄はホワイトハウスの職員たちから愛されたという。
ブッシュ大統領はとても気さくな方で、いつもたくさんの友人をホワイトハウスに招いていました。愛情深くて、愛犬が死んだときは大変でした。私と2人のシークレットサービスが立ち会いましたが、大統領は愛犬のそばに横たわり、頭をずっと撫でていました(ウォルターズ)
・そんなブッシュが力を入れていたのが初等教育。学力低下が叫ばれるアメリカで、子どもにしっかりと読み書きを教えたい。そう願って、多くの学校を自ら視察する熱の入れようだった。
・だからこそあの日も、フロリダで小学校の授業に参加していた。そんなブッシュを突然襲ったテロの知らせ。後に記した回顧録に当時の心境をこう綴っている。
私の意識は教室をはるかに離れて駆けめぐっていた。
【9月11日午前9時40分(テロ発生から1時間)】
・ブッシュがフロリダを離れたのは、これは事故ではなくアメリカへの攻撃だと分かり始めた頃だった。
・だがブッシュを乗せた飛行機は、ワシントンとは全く違う方向へと向かう。ブッシュはホワイトハウスに戻りたかったが「テロの標的になっているワシントンに来るのは危険すぎる」とチェイニーたちが強く反対した。
テロリストに脅されて逃げるのはまっぴらだと私はいった。テロリストに追われて逃げる自分の姿を想像したくなかった。(「決断のとき」ジョージ・ウォーカー・ブッシュ著より)
・結局ブッシュは進言を受け入れる。
【9月11日午前9時59分】
・ブッシュが離陸して19分後、ワールドトレードセンター南棟崩壊。その惨状をブッシュは機内のテレビで見つめるしかなかった。
・さらにホワイトハウスに危機を知らせる電話が入った。電話を取ったのは、またしてもダーリング。
信頼する情報筋から「次のターゲットはフロリダのエンジェルだ」という連絡が来ました。「エンジェル」とは大統領専用機エアフォース・ワンのコードネームです(ダーリング)
・次の標的は大統領専用機。つまりブッシュ本人だという情報だった。
私はライス補佐官にその情報を伝えました。すると彼女は「エンジェルって誰よ?」って言ったんです(同上)
・「ブッシュ政権最高の頭脳」と呼ばれたライス。当然知っているべきコードネームを忘れるほど混乱していた。
ワシントンD.C.に戻るべきだと強く感じていた。ホワイトハウスにいて、対応の指揮をとりたい。
・しかしチェイニーたちとの協議で、そのプランは再び退けられた。その頃、撮影された機内の映像が残っている。窓の外には護衛の戦闘機がぴたりと付いている。自分は軍に守られているのに、国民を守る指揮すら執れないジレンマ。
【9月11日午前10時28分】
・ワールドトレードセンター北棟、崩壊。そのときのブッシュはこう綴っている。
とぎれとぎれの映像を見ているうちに、アメリカ国民がどんな恐ろしい光景を眺めているかがわかりはじめた。彼らの苦しみと絶望がまざまざと感じられた。私は世界一強大な国の大統領なのに、彼らを助けられない無力さを味わっていた。
・大統領が絶望に暮れていた頃、ホワイトハウスの庭で動き始めた男がいる。執事長のウォルターズは、あることを信じていた。
このような危機に直面すれば、大統領は必ずホワイトハウスに戻ってくると私は信じていました。ホワイトハウスの執務室から国民に向けて演説するはずだと(ウォルターズ)
・危機にあたっては直接、国民に話しかけるのが通例。だが大きな壁があった。通常、大統領は空軍基地に降り、車かヘリコプターでホワイトハウスに向かう。緊急事態ではヘリを使う可能性が高い。
・だがヘリの着陸に使う南の庭には、このとき野外食事会のテーブルが大量に放置されていた。既に殆どの職員が避難し、ホワイトハウスは閑散。残っていたのはウォルターズと数名のスタッフだけだった。ウォルターズは決意した。
ヘリが来たときに備え、テーブルを全て撤去しなければと思いました。手作業で運びました。1台の重さは160キロもあります。かなり大変でしたが、それでもやらねばならないと思ったんです(同上)
・いつ攻撃を受けるか分からない。その中でウォルターズたちは160キロのテーブルを一つ一つ片付けていった。
もし飛行機が襲ってきたらどうしようと聞かれたのですが、逃げる所なんてどこにもありません。私は「噴水にダイブしよう。水中なら少しはましかもしれないよ」と言いました。なんとかみんなの緊張をほぐしたかったんです。ただ大統領への務めを果たしたい、それだけでした(同上)
【9月11日午後2時55分(テロ発生から6時間)】
・ブッシュは給油のためにネブラスカ州の空軍基地にいた。そこで重大な決断を下した。いかなる危険があろうとも、ホワイトハウスに戻る。
信じられませんでした。副大統領や補佐官もみんなワシントンに戻らないよう説得しましたが、大統領はカメラをまっすぐ見据え、こう言ったのです。「今日の夕方、必ず戻る」と(ダーリング)
今回は私も折れなかった。国民に向けて話をしようと決意していた。アメリカ国民には、首都にいる大統領の姿を見せる必要がある。
・間もなくウォルターズにある指示が下った。
ホワイトハウスに戻るからテーブルを片付けてくれるかと聞かれたので「もう片付けてあります。安心して着陸してください」と答えました。とても誇らしい思いでした(ウォルターズ)
・ウォルターズたちは5時間かけ、着陸場所を完璧に整えていた。
【9月11日午後6時55分(テロ発生から10時間)】
・ブッシュ大統領は、ようやくホワイトハウスに戻ってきた。ブッシュが歩くその奥にウォルターズたちが命を懸けて片付けたテーブルが積まれていた。
【9月11日午後8時30分】
・ブッシュは国民に語りかけた。
今日、私たちの生活が、そして自由が、テロリストの攻撃を受けました。しかしその攻撃はビルを揺るがすことはできますが、アメリカの根幹に触れることはできません。今こそ全ての国民が正義と平和を求めて団結するときです。
・アメリカがようやくその機能を取り戻した瞬間だった。
・このテロで失われた命は2973。
※ワールドトレードセンター:2602人
※ハイジャック機の乗員乗客:246人
※ペンタゴン:125人
・そしてこの日からテロとの長い戦いが世界で始まることになった。
・あの日から15年。ニューヨークのテロの現場は、犠牲者を追悼する記念公園となっている。捧げられる平和の祈り。だが世界は憎しみの連鎖を断ち切れずにいる。
・いつどこでテロが起こるか分からない時代。新たな対立が煽られ、世界から自由と寛容さが失われつつある。
・あのテロの後、ホワイトハウスでも安全のため一般見学を中止しようという動きがあった。それに真っ先に反対したのはウォルターズだった。
私は大統領に申し上げました。「国民が前に進むためにホワイトハウスは決して閉じてはいけません」とね。私たちの社会は開かれているべきです。たとえそこに新たなテロがやってくるとしてもです。戦いを終わらせるためには、これまでと違う何か特別なことをしなければならないのです(ウォルターズ)
・この戦いはどうすれば終わるのか。世界はその答えをまだ見つけていない。
(2016/9/16視聴・2016/9/16記)
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