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【NNNドキュメント’16】3.11からの夢 よそ者の私ができること

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【NNNドキュメント’16】
「3.11からの夢 よそ者の私ができること」

(日本テレビ系列・2016/9/12放送)
※公式サイト:http://www.ntv.co.jp/document/

<感想>

 東日本大震災から5年半。被災地を取材し、現地の人たちと交流しながら「あなたの夢」を聞き取るという作業。私も被災地を何度か訪れ、多くの人たちと触れ合ってきましたが「夢」どころではないという人も当然いるわけで、彼女が抱えた葛藤は分かる気がします。

 でも、時間の経過と気持ちを寄り添うことで分かり合えることはあると思います。光さん、いい経験をしましたね。そしてこの本、私もぜひ読んでみたいと思います。


3.11からの夢

<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>

※見出しは当方で付けました。

・「あなたの夢は何ですか?」――彼女の仕事は夢を集めること。それを1冊の本にする。
・しかし、被災地は命が奪われ希望が失われた場所。よそ者である自分、彼女はそれでも被災地に足を運び続けた。
・あの日から5年半、彼女と出会った東北の人たちは、もう一度夢を描き始める。

<京都の出版社の女性編集者>
・京都にあるいろは出版。2年目の編集者、末永光(24)。

末永が入ってきたから、この企画をやろうっていう感じでした。もともと初めから厳しい企画っていうのは分かっていたし、本当に重たいテーマを乗り越えられないと多分できないので。この子だったら乗り越えられるからお願いした(いろは出版編集長・当時の大塚啓志郎さん)

・東日本大震災が起きた年、光は大学生だった。入社後すぐに任されたのが3・11の企画。悩んだ末、震災から始まった夢を集めることに決めた。
・これまでにも夢の本を制作してきたいろは出版。「1歳から100歳の夢」は10万部を超えた。一人でも多くの人を笑顔にすることが会社の方針。
・今年1月、光は自らが取り組む本の内容について社員に説明する機会が与えられた。

「3・11からの夢」は、そのタイトル通り3・11から始まった夢というのを聞いた、夢の本になっています。内容としては震災を始まりに変えて歩き出した30人の夢。被災地だけじゃなくて、本当に日本中を2年間かけて巡って夢を集めて来ました(光さん)

<ある少年の夢は発明家になること>
・東北には縁もゆかりもなかったけど、取材にかけた日数は2年間で延べ156日間にも及んだ。宮城県山元町は、これが10回目の訪問。光は一人の少年に夢を聞くことにした。
・佐藤禅介くん(10)が住む町は津波で大きな被害を受けた。町の4割近くが浸水、636人が亡くなった。当時4歳、お母さんと車に乗っていたとき大きな揺れに襲われた。高台の家は無事だったけど迫ってきた津波のことは、はっきりと覚えている。

3月11日からの夢は発明家です。理由は震災があってたくさんの人がいなくなったから、人を守れるものを作りたいと思ったからです。災害救助型ロボットとかですね。できれば大学とかに入って勉強したりして、大人になって発明家になったら、発明するための材料とかもお金がかかるので、まず働いたりしてお金を貯めてから発明家になって作ろうと思います。誰とかも関係なくたくさんの人を、一人でも多くの人を助けたいです(禅介くん)

<取材先で出会った女性>
・東北へ取材に行くと必ず会いに行く人がいる。禅介くんと同じ山元町に住む岩佐孝子さん(62)。みんなから「たかちゃん」と呼ばれている。世話好きで子どもが大好きなたかちゃん、毎朝通学路で子どもたちに声を掛け見守り活動を続けている。
・取材に行くといつもお弁当を用意してくれる。長年、町役場に勤め、公民館の館長をしていたたかちゃん。地元の人とはみんな顔見知りだ。

職員も犠牲になったんだよね、伝えに行って(岩佐さん)
津波?(光さん)
そう。町議、亡くなっちゃった(岩佐さん)
そうなんだ(光さん)

家が1軒あったじゃないですか、東の所に。あそこの息子も亡くなったの。亡くなった人の息子が中学校の卒業式だったの。行ったことないのに「たかちゃん、俺さ、中学校、息子、最後だから行ってくるね」って前の日の夕方に言うから「行っておいで、最後でしょ。ヒロキと一緒に過ごしておいでよ」って言ったの。そしたらそれが最後だったって(岩佐さん)


・たかちゃんは震災のことだけでなく、食べ物や風習などいろいろなことを教えてくれた。頼れる東北のお母さん。

<原発事故の影響を受ける浪江町へ>
・去年12月、福島県浪江町。原発事故の影響で町の全域が今も避難指示区域となっている。光は初めて足を踏み入れた。
・放射性物質による汚染を取り除く作業。先はまだ見えない。人けの全くない町を目の当たりにして、思わず逃げ出したくなった。
・夢を聞くことは愚かで浅はかなことなのか。

<気仙沼の高齢女性から話を聞くと>
・宮城県気仙沼市に住む熊谷カヨさん(87)は津波で家を失った。愛犬も津波にのまれた。大切なものを一度に奪われたカヨさんの夢。

健康で老後をしたいと思います。娘のあまり邪魔にならないように、あと何年か…うんうん(熊谷さん)

・夢を語った後、カヨさんは当時の記憶をしゃべり始めた。

屋上から我が家が流れるのを見たんですね。はぁ、流れたねぇ、流れたなぁ…。忘れられないねぇ。姪の一家も死んだし、その姉の旦那も本当に本当に…(同上)

・取材の後、日比康二カメラマンが言う。

夢を聞くために、一回当時のことを思い出させてしまう。思い出して、後の夢を考えてもらう作業をしてもらうんで、一旦そこで悲しませてしまう。思い出させてしまう(日比さん)

普通に暮らす分には普通に思い出さなくていいことなんですよね(光さん)


<福島県内で製造業を営む社長は>
・福島県大玉村で製造業を営む男性を取材したときのことだった。向山製造所社長の織田金也さん(51)。

寝た子を起こすようにね、あぶり出して、嫌な思い出をもう一回っていうことだけのために僕は必要ないんじゃないかなとかね(織田さん)

・もともと電子部品を作る会社。リーマンショックの後、社長は従業員の雇用を守るためにキャラメル作りも始めた。震災の3年前のことだ。福島産にこだわった生キャラメルは、国際線のファーストクラスのスイーツにも選ばれた。けれど震災で状況は一変、福島ということだけで売れなくなった。

福島の場合はね、違った問題があるから。みんなかわいそうだっていって哀れんでくれてさ、いろいろ「かわいそうね、かわいそうね」って、いろんなことやってくれるかもしんないけど。そうでもないのよ。今日会っても分かるじゃない。誰もそんな悲壮感の中で生きてないじゃん。みんな普通に、変わらないと思うよ、京都に住んでいる人たちと。ただみんなが哀れんでくれているだけで(同上)

・取材の後、光さんが言う。

いろいろ、その人らと話すときに「見たの?」って言われるんですよ、その津波の被害とか。「見てないです」って言ったら「だからそんなことできるんだね」とか言われたりして(光さん)

・一体、誰のための何のための夢なのか。出版は予定より1年も遅れ、経費は1000万円を超えた。よそ者の私に本を作ることはできないのかもしれない、光はそう思っていた。

<気仙沼のコロッケ屋さんのおばあちゃんの夢は>
・取材は行き詰っていた。それでも光は被災地へ。
・去年の3月11日のことだった。たまたま入った気仙沼のコロッケ屋さん。おばちゃんのふとした言葉が流れを大きく変えた。

おばあちゃん、コロッケ屋さんで働いていたので、朝ごはんを食べに普通に話しに行きました。で、何げなく「おばあちゃん夢ある?」みたいな話をして。そしたら初めは「もう何もなくなっちゃったし、夢なんてないわ」みたいな話をされたんですけど、いろんな話をしていくうちに「船で世界一周してみたいかなぁ」みたいなことを言ってくれて。「おばあちゃん、それ夢やん」っていう話をしてたら「こんなんやったらいっぱいあるよ」って言って。「寝る前とか…ご飯食べて寝る前とかって、ついうとうとしちゃうから、そんな余計なこと考えるぐらいやったら夢考えてみるよ」って言ってくれて。「希望の宿題もらったみたいや」と言ってくれました(発表する光さん)

<子どもと一緒に福島に帰りたいという女性>
・夢を考えることは、それだけで希望なのかもしれない。光は一歩前に進んだ。
・夢を語ってくれた人は2年間で150人。横浜に住む高見美香さん(33)は、実家のある福島に戻り子育てをすると決めていた。出会った人の言葉を通して、光は自分の生き方も見つめ直していた。

復興っていう意味合いでも、やぱり戻りたいなっていうのもありますし。今、地元で元気に育っている子どもたちと一緒に育てていきたいなという思いはすごくありますね(高見さん)

<もう一度、オール福島産の生キャラメルを作りたいという社長>
・福島で風評被害と闘う織田社長の夢は、オール福島産の生キャラメルをもう一度作ること。

僕らの話、小さな話で、自分たちの思いとかっていう話を、まあ、彼女が言うもんですから一応話をしたわけですよ。説明をしたんですね。そしたら彼女はそのことを一生懸命、受け止めようとするわけですよ。この地域に来て一生懸命、話を聞こうとするわけでしょ。なぜか彼女のその熱意があって、僕も話すか話すまいかと思いながらも、ついつい話してしまう。「夢を探しに来ました」って言って。僕はそのときに夢はあったと思うんですけど、彼女から聞かれて、あたためて夢をまとめた気がするんですよ。あらためて(織田さん)

<“東北のお母さん”の夢は>
・東北のお母さん、たかちゃんの夢。子どもが生き生きと暮らせる元気な町にする。

楽しみですよ、いろんな人たちが夢を持っているからこそ、前に進めると思っているの。後ろ向きじゃなくて、前向きになれるチャンスをいただいたような気がします。後ろばっかり向いてちゃいけないかなと思ったときに、声をかけてもらってポンと背中を押してもらったような気がする(岩佐さん)

<2年の月日をかけて出版された本>
・2年の月日をかけて光が作った本が全国の書店に並んだ。本を手にした人が被災地の現実を知るだけでなく、自分の人生を見つめ直すきっかけになればと願っている。
・3・11を始まりに変えた30人の夢。
・「あなたの夢は何ですか?」

今は一生懸命やっぱり仕事したくて。何か何で一生懸命仕事したいんやろうなって考えてたんですけど。何か一生懸命仕事したら、お母さんになってから伝えられるもの多いなと思って、子どもに。って思うと、だからやってんねんなあとかは思って。(夢は)お母さんになることですね(光さん)

・この夏、光は再び東北へ。夢の続きを静かに見守っていく。

(2016/9/13視聴・2016/9/13記)

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