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【NHKスペシャル】それでも、生きようとした~原発事故から5年・福島からの報告~

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【NHKスペシャル】
「シリーズ東日本大震災 それでも、生きようとした~原発事故から5年・福島からの報告~」

(NHK総合・2017/1/9放送)
※公式サイト:http://www6.nhk.or.jp/special/

<感想>

 東日本大震災、原発事故によって避難生活や様々な困難を強いられている福島の人々の自殺率が高くなっているというデータが示されたのは大きいと思います。多いだろうなという印象だけではなく、科学的に根拠があるものですので。それに対して、一人でも不幸な人を無くすための取り組みは行政とりわけ国を挙げて取り組むべき課題だと思います。何しろ原発事故という人災が絡んでいるわけですから。

 そして番組で紹介されていたNPOの方々の地道な取り組みには頭が下がります。半ば自暴自棄のような状態になっている人にも粘り強く働きかけている姿はなかなか簡単に出来ることはないと思いました。こういう活動は本当に大切だし、もっとそこに物心両面での支援が届くようになってほしいですね。

 不幸にも自ら命を絶ってしまった人たち、番組で取り上げきれない様々な理由があってのことだろうと推察します。命を大切にしてほしかったとは思いますが、それでも彼らのことを責めることはできないでしょう。謹んでお悔やみ申し上げます。

<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>

川内村、東北が安心して住めるように祈っています。

・2014年、NHKの番組に出演した福島に帰還を果たした夫婦。

普通に田んぼやって畑やって、普通に釣りして山歩きして。今と変わらず、震災前と変わらずって感じですね。

・この1年後、夫婦は自ら命を絶った。

寂しいとき、満弘に会いたいよってなるとき、満弘会いたいって大きい声で言うの(亡くなった夫婦の母)

・同じ年、原発事故で東京に避難していた年配の男性。ふるさとを思いながら、震災から5年近く経って命を絶った。

自殺だったから。悔しい、亡くなったの悔しくてしょうがない(亡くなった男性の友人)

・今、世界的な医学誌に掲載されたあるデータが注目を集めている。SMRと呼ばれる自殺率を表す指標が、福島で震災から時間が経って急激に上昇している。

後になってどんどん増えてくるというのが、まさに福島の特徴。原発事故の特徴。すごく衝撃を受けました(福島県立医大教授)

・都内にある24時間の電話相談所にも最近、福島からの深刻な内容の相談が寄せられている。

原発がらみが悲しむべきふるさとすらも奪っちゃった、分解しちゃった。一緒に悲しんで、もう1回再スタートしようというスタートが切れないと思いますよ(福島の精神科医)

・原発事故の後、いくつもの困難を乗り越えてきた人々。

近いですね。何で見えてる場所なのに帰れないんだろう(女性)

・今、その心に何が起きているのだろうか。

<増え続ける自殺 その背景は>
・鎌田靖キャスター(以下、鎌田氏):福島県南相馬市に来ています。ここ小高区は半年前に避難指示が解除されました。ご覧のように、行き交う車も見られるようになりました。復興が進んでいるように感じます。今年3月には避難指示が出された自治体の7割で指示が解除されます。
 目に見える復興が進む一方で気になる数字があります。これはSMRという自殺率の高さを表す指標です。100を超えればリスクが高いとされます。福島の場合、震災直後は一旦下がりましたが、4年目になって急激に上昇しています。
 震災から時が経つ中で、なぜ今福島でこうしたことが起きているのか。取材しました。

・都内にある電話相談所、専門の担当者が24時間体制で心の悩みを聞く。受け付けているのは東北の被災地からの相談。その数は1日400件以上にもなる。
・中でも深刻なのが福島からの相談。この日も福島からの電話が相次いだ。相談の多くが自殺のリスクが高いものだという。
・今、福島で何が起きているのか。県内で最も震災関連自殺が多い南相馬市。それを防ぐため、この地域で活動を続けるNPO。行政機関や保健所から依頼を受け、危険な兆候が見られる人を訪ねて回る。
・この日、訪ねたのは73歳の男性。去年春、自殺未遂を起こした。男性は原発事故で畜産の仕事を諦めた。更に避難先で一緒に暮らしていた妻も亡くし、一人になった。

寂しい、独りっちゃ。生きがい、ねえなあ。ぽつんと独りでいたって何も面白くねえしな(男性)

・NPOは定期的に通い、体調や心の変化を注意深く見守り続けている。NPO法人 相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(通称なごみ)は、震災直後から福島で被災者の心のケアに当たってきた。

検討したいことは目的としてAさんの自殺を防ぐため、私たちは何ができるのか(職員)

・去年から震災後の新しい環境に適応する人と、それができず精神的に落ち込んでいく人の二極化が目立つようになったという。
・今、警戒しているのは落ち込んだ人々の生活が次第に荒れていくこと。田中茂さん(仮名・66歳)はNPOが定期的に訪ねる一人。一人で暮らす部屋は年々、汚れが目立つようになっている。
・もともと家は6代続いてきた大規模な米農家だった。田中さんも震災前は両親と3人で米を作ってきたが、原発事故の直後、作付けが禁止された。

米なんか作れなかったでしょ、この辺。誰も作っちゃならないとなったでしょ。震災後なんか朝起きたら、だんだん息苦しくなってくるんだよね(田中さん)

・更に一緒に暮らしていた両親も亡くした。震災後、仕事や人との繋がりを失った人々が今、深刻な状態に陥っているとNPOは見ている。
・2015年、こうした福島の現状を示すあるデータが世界的な医学誌に発表された。SMRという自殺率の高さを表す指標を算出したところ、福島県で震災から4年目になって急激に上昇していた。
・自殺は高齢者に多いため、高齢化が進む東北や九州などの地域では人口に対する自殺率が高くなる。SMRでは年齢の偏りを是正することで、より正確な自殺率を示すことができる。
・100を平均とし、それを超えればリスクが高いとされるSMR。例えば東京の男性の2012年のSMRは88.6。一方、福島の男女を合わせたSMRは、震災3年目まで低かったものが4年目に急上昇。震災前の値を大きく超えていた。

私は個人的には、すごく衝撃を受けました。ショックだったですね(前田教授)

・この研究を行ったのは震災以来、福島県民の心の健康調査をしてきた福島県立医大の前田正治教授。なぜ震災から時間が経って死を選ぶ人が増えるのか。前田教授は、最近起きた福島の震災関連自殺を分析。深刻な心の悩みを訴える人への聞き取りも行い、福島の被災地に特有な幾つかの傾向を浮かび上がらせた。その一つが、あいまいな喪失。

原発災害というのは、どこで終わりが来たのかよく分からない状態。「戻れるはず、戻れるはず」と思っていたのが、いつまでたっても戻れない。なかなか放射線量も下がってこないし、逆に「もう帰れないから次の道に生き直そう」という、それもなかなか踏ん切りがつかないことになります(同上)

・前田教授が指摘する「あいまいな喪失」とは、どういったものか。2015年、東京都台東区のアパートで5年近く避難生活を送っていた一人の男性が命を絶った。
・佐藤善也さん(享年89)は、震災直後から詳細な日記をつけていた。そこには佐藤さんの心の変化が記録されていた。佐藤さんのふるさとは福島県南相馬市の小高区。震災前は息子や孫と3世代で暮らし、農業を営んでいた。
・原発事故直後、20km圏内にある小高区にはすぐに避難指示が出された。佐藤さんの家族は東京の親戚のアパートに避難した。その直後の日記。

4月4日、隅田公園に行き、天にのびたスカイツリー見る。

・この頃、家族には少し長い旅行のようなものだと話していたという。
・1年が過ぎると福島の他の地域では、帰還に向け放射性物質を取り除く除染が始まった。佐藤さんの期待は高まった。
・更に震災から1年半後。小高区は昼間だけ立ち入りが認められるようになった。佐藤さんはすぐにバスを乗り継ぎ、向かった。このとき一緒に小高に帰った同級生の佐々木清明さん。

これ全部、善也さんの土地だ。森がある所近くまで善也さんの(佐々木さん)

・1年半ぶりの自宅は少し傷みが進んでいたが、ほぼそのまま残っていた。家を前にして佐藤さんの帰還への思いは更に強くなった。

今まで自分が一生懸命、汗水垂らしてやってきた場所。山もあり田んぼもあり畑もあり、ただそいつを東京に出ていって、こっちを見捨てるようなことは出来なくて、遮二無二帰ってくるという、そういう気持ちだと思う(同上)

・しかし小高区では予定されていた除染作業が何度も延期された。期待と落胆が繰り返される様子が日記には記されている。
・そして震災から2年半、ようやく小高区への帰還の時期が示された。しかしそれは、さらに2年半も先のことだった。そこにあるのに帰れないふるさと。佐藤さんの心は混乱した。

明白な喪失、例えば津波で家が壊れてしまう。それに比べると、希望は持てるという良さはあるんですね。あるわけですから、家もね。元に戻れるんじゃないかと。しかしそれが逆に言うと(家が)あるものですから、ずっとその希望を持ち続けなきゃいけませんよね。いろんな意味で、けじめがものすごくつきづらい。それが何年も続いてしまう。ここが非常に“あいまいな喪失”の問題の大きなところだと思います(前田教授)

・なぜ震災から時間が経って福島で自殺が増えるのか。前田教授がもう一つの背景として挙げるのが、コミュニティーの分断。原発事故により、多くの人がふるさとと切り離された。それでも当初は同じ地域の人や家族同士で避難し、支え合う環境があった。しかし時間とともに、帰還を希望する人や諦める人など境遇に違いが現れてくる。
・東京へ避難した佐藤善也さんも、当初は同じアパートで3世代が一緒に暮らしていた。この頃の日記にはバラバラになった友人とも頻繁に連絡を取り、悩みを相談していたことが記されている。しかし時とともに疎遠になり、そうした記述は減っていった。
・更に同居していた家族も、帰還の見通しが立たないことから職を求め他の地域へ移っていった。一緒に暮らしていた孫も、やむなく和歌山で就職した。

戻ってくれとは言ってたけどね。戻って欲しいってはね。ただ戻るのはいいけど仕事もないし、戻るだけなら出来るけど、生活しないといけないからね。何ともね、子どももいるし。気持ちは分かるけどもって感じかな(孫の豪さん)

・やむにやまれぬ事情で離れていく人との距離。やりきれない思いが綴られている。

いろんな問題を予防する作用があるのは、コミュニティーの絆だと思います。バラバラとなってしまうところが一番コミュニティーが持っている防御力、防ぐ力、レジリエンス(精神的な回復力)これがガタッと下がっていく。(自殺の)大きなきっかけになってしまう(前田教授)

・2015年11月。久しぶりに友人の佐々木さんと一時帰宅した佐藤さんは、車窓からある光景を目にした。農地の至る所にうず高く積まれた除染廃棄物の山。小高区は市の方針で、帰還が進む他の地域の廃棄物の一部を置く場所になっていた。それは佐藤さんの田畑の目の前の場所だった。

善也さんみたく純粋に農業でなんとかしたいという人からすると、今後農業はここでは出来なくなると、うんと落胆していた(佐々木さん)

・佐藤さんはその翌朝も、ただ黙ってその風景を見続けていたという。東京に戻って5日後、佐藤さんは亡くなった。日記の最後にはふるさとの民謡の一節が書き残されていた。

<時間の経過と深まる“孤立”>
・鎌田氏:原発事故による複雑な事情が苦しんでいる人を更に追い詰めていく現実に、改めて胸が締めつけられる思いです。自ら命を絶つ人々の背景を見ていきますと、原発事故によって仕事を失ったり、ふるさとに戻ることが出来なかったり、あるいは戻ってからも家族がバラバラになってしまったりと、その状況は様々です。しかし共通しているのは、孤立した状況に置かれていること、そのことを改めて感じます。
 一方、私たちが取材を進める中で見えてきたのは、命を絶った人々の中には厳しい現実を前に最後まで困難を乗り越えて必死に生きようとしていた人がいたということでした。

<30代の夫婦 帰還後の日々>
・福島県川内村。2014年5月、NHKはここで一組の家族を取材した。

川内村、東北が安心して住めるように祈っています。遠藤充、35歳。松枝・母。兄みたいな弟、34歳。妻・美代子、33歳。

山ばかりだけど、いいとこいっぱいなんで、ぜひ遊びに来て下さい。

・避難指示が解除されると、真っ先にふるさとに帰還した家族だった。地元で農業を営んでいた遠藤満弘さんと妻の美代子さん。

うまいっすよ。みんなで友達や同級生が集まってバーベキュー。あしたから田んぼ始まるんで。きょう(バーベキュー)やって馬力つけて、農作業に没頭です(満弘さん)

・それから1年後の2015年4月、2人は自ら命を絶った。月命日には母の松枝さんと兄の充さんが墓参りを続けている。
・震災から1年後。川内村の避難指示が解除されると、満弘さんの家族はいち早く避難先から帰還した。その3か月後には、震災前から付き合っていた美代子さんと結婚。村に根を張り、自分が農業を復活させると燃えていた。
・しかし現実は厳しいものだった。野山の放射線量はなかなか下がらず、雨が降るたび、そこから水が田んぼに流れ込んだ。それでも満弘さんは毎日田んぼに出た。放射性物質を吸着する作業をただ黙々と続けた。
・この頃、村には県外から次々とボランティアが入ってきた。満弘さんは、そうした支援者とともに米作りのプロジェクトを立ち上げた。

満弘どや顔でいる、得意顔で。こういうのは張り切ってやるんだよな、満弘な(松枝さん)

・皆で汚染されていない井戸水を汲み上げ、試験的に小規模な稲作を始めた。

満弘も嬉しかったんだと思う。みんな放射能がおっかなくて避難している時に、こういう若者が来て腕まくって足まくって田植えしてくれた。何も恐れもしないで。きっと勇気が湧いてきたとこもあるのかなと思う。よしここでやっていく、というのがあったのかなと思って(同上)

・収穫した米から放射性物質は検出されず、地区で行われた品評会でも1位になった。
・翌年の2013年、より面積を広げ大規模な稲作を始めた満弘さん。米の出来はよく、再び放射性物質も検出されなかった。ところが米の値段はかつての3分の2、確実に赤字だった。
・満弘さんは知人のつてを頼り、県外で自主販売する道を探った。それでもなかなか買い手がつかなかった。ならばと、おにぎりを試食してもらうイベントを企画。かつて支援してくれた人や知人に声をかけた。しかし殆ど人は集まらなかった。実はNHKの取材を受けたのは、ちょうどこの頃だった。

(今は連休で結構みんな戻ってきて)
でも、まだ見ないですね(満弘さん)
(皆さん戻るといいですね)
ですね(同上)

・夫婦は、このときも前を向こうとしていた。

(これからどんなふうにやっていきたいですか?)
今と変わらず普通に田んぼやって畑やって、普通に釣りして山歩きしてバーベキューやって。今と変わらず、震災前と変わらずって感じですね(同上)
(震災あったからってことは)
あまり気にしないです。気にしてたら何も出来ないですからね(同上)
そうだね(美代子さん)


・満弘さんは生活のため、地元の採石場でも働いていた。「農業で食べられるようになるまで頑張りたい」。周囲にはそう話していた。

本当に仕事は真面目ですね。ちょっとおちゃらけても、いざ仕事が始まると真剣な顔してやってる。あれに任せておけば間違いないというぐらいの仕事をしてくれた(かつての仕事仲間)

・そうした中、ある知らせが満弘さんのもとに届いた。避難先にいた叔父が亡くなった。父を早く亡くした満弘さんにとって、何でも相談に乗ってもらった大切な存在だった。東京の避難先で孤立する中、自ら命を絶った。この頃から明るかった満弘さんの笑顔が消えていった。

田んぼの話をする人もいない。自分だけが取り残されたみたいになっちゃったのかな。孤独になっちゃったんだと思う。誰もいない自分だけで、そうかなと思う。これしてみっかなとかいろいろ話しなかった(松枝さん)

・賑やかだった家でも家族の会話は減っていった。
・それから半年後。突然、満弘さんが家族に旅行を提案した。母の松枝さんがずっと行きたいと言っていた青森・弘前への1泊2日の旅。満弘さんは自ら片道5時間半の運転を買って出た。
・弘前公園には桜が咲き、大勢の人で賑わっていた。久しぶりに家族は笑った。その様子を満弘さんは、じっと見つめていたという。

とにかく私も嬉しくて、4人全然気兼ねしなかったから。ここにはこんな木が植えられてる、この花が植えられてる。とにかく私も嬉しくてしゃべりっぱなし。そうしたら満弘がぼそっと「幸せだな」って言ったのを覚えてる。私、知らないふりしてたけども、あれが一番の思い出(同上)

・帰りも満弘さんが一人で運転した。ちょうど日が暮れる頃、車は県境を越えた。帰り道、家族はあまり話をしなかった。
・1週間後、満弘さん夫婦は夜に車で家を出て、集落を臨む山で命を絶った。もうすぐ田植えが始まる、まだ肌寒い春の日だった。

<何が被災者を孤立させるのか>
・鎌田氏:遠藤さん夫婦が愛した川内村です。厳しい現実にぶつかりながら、それでも前を向こうとしていた夫婦。しかし次第に孤立を深めていくことになりました。
 今回亡くなった方々を取材して改めて感じるのは、人々が孤立感を深めていく背景には、震災から時が経つにつれ私たちの間で被災地への関心が薄れていることもあるのではないかということです。私自身、果たして自分はどうなのかと重い問いを突きつけられている気が致します。
 二度とこうした悲劇を繰り返さないために、では何が出来るのか。最後に福島の現場で今、懸命に進められている取り組みを取材しました。

<命を守るために>
・福島の被災地で自殺を食い止めるため、訪問活動を続けるNPO。年を追うごとに深刻なケースが増える中、去年から更に踏み込んだ手法に力を入れている。「アウトリーチ」と呼ばれるものだ。
・建設関係の職人だったある男性は震災後に妻を亡くし、仕事も減ったことで生活が荒れていった。医療や福祉の専門資格を持ったスタッフが、体調の管理のほか洗濯や食事など生活そのものに深く関わっていく。こうした訪問を繰り返し、孤立した人に周囲との繋がりを実感してもらうのがアウトリーチの狙いだ。

私たちも心配してるの(スタッフの女性)
何の心配?(男性)
お酒飲んで体壊さないか、心配してるの(スタッフ)
早く死んだほうがいいべさ(男性)
私たちが心配してるの(スタッフ)

・今、NPOが最も注視しているのが、ふるさとと切り離され仮設住宅で孤立する人たちだ。この日、訪ねたのは飯舘村から避難し、もう5年ここで暮らしている男性。最近、部屋に籠もりがちになっていた。

何の用あったの?(男性)
ご様子どうかなと思って(スタッフ)
いや、いちいちなごみの人来ないで下さいよ。邪魔になっちまうんだ。今眠ってんだぞ。これからは来ないで下さい。迷惑です(男性)

・訪問を拒絶するだけでなく、通っていた病院にももう行かないと言い出していた。それでも訪問は続けられた。

不機嫌になる理由っていっぱいあると思うんです。だからといって来なくなられたら困るんじゃないか。どんなことがあろうと、私たちは応援し続けるというか関わり続けますよということは、私は伝えたいと思うし(訪問看護ステーションなごみ副所長の木島祐子看護師)

何か用あったの?もう俺の所に来ないでって言ったはずだ(男性)
うん、聞いた(木島さん)
俺はやることいっぱいあるんだ。何か用あったの?(男性)
お顔見に来たのよ(木島さん)
あんなヤブ医者のところ行ってられねえ(男性)
そうなんだ(木島さん)

・ただ話に耳を傾ける。

また金曜日、顔を出してみます(木島さん)
かまわねえけど、なるべく来ないでな(男性)
かまわねえんだったら来るね。お薬はどう?足りなくなってない?(木島さん)
いや、間に合ってる(男性)
寒いから風邪引かないでね(木島さん)

・2日後の金曜日。ようやく少し落ち着いて話をすることができた。

でも体ないとさ(木島さん)
いや、死んだってかまわねえんだ(男性)
死んだってかまわなくない。これ、お薬間もなくだから16日に(病院に)行く予定でした?(木島さん)
うん、そうだ。自分で行くんだ(男性)
もし良かったらそのときに、なごみも一緒に行ってもいいですか?(木島さん)
ああ、いいですよ(男性)

・治療を中断せず、掛かりつけの病院に通うことを約束してくれた。その日の午後、仮設の集会所では住民の人たちがふるさと飯舘村の絵を作っていた。そして…。

来て悪かったか?(男性)

全然悪くないよ(女性)

・すっと部屋に籠もっていたあの男性が久しぶりに集会所に顔を見せた。
・時間と手間のかかるアウトリーチ。行政から下りてくる予算は単年度ごとで、訪問するスタッフは4人しかいない。待ったなしの現場でギリギリの戦いが続けられている。
・南相馬市小高区にある同慶寺。去年、一人の男性の遺骨が納められた。5年近くふるさとを思いながら東京で命を絶った佐藤善也さん。
・寺では4人の檀家が震災関連自殺で亡くなった。月に2度、離れて暮らす住民たちに声をかけ一緒に掃除を行う「清掃結い」と呼ばれる取り組みを始めている。
・バラバラになったコミュニティーをもう一度作り直そうとしている。住職は去年から寺の前に「いのち」の旗を掲げ、24時間心の悩みに耳を傾ける取り組みを始めた。

絶望的な状況。この中に希望を見いだしていこうと努力はしています。でも一人で出来ることは限られているし、私たちに出来ることも限られている。そんな中でも、今ここを精いっぱい生きようとしています(同慶寺住職の田中徳雲さん)

・困難を乗り越え、被災地で生きようとする人々の決意。

(2017/1/13視聴・2017/1/13記)

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